「2030年クルーズ人口100万人」は実現できるか――最大課題は『需要』ではない、JATAクルーズ部会長・松浦氏に聞く
大久保英男氏(以下敬称略) クルーズはどうしても船の供給量に左右される産業です。旅行業界全体としては高付加価値化という流れもありますが、一定のボリュームがなければ船の供給も増えません。国が100万人という数字を明確に出したことによって、日本が本気でクルーズを進めていくというメッセージになりますし、海外のクルーズ会社が日本に寄港する判断にもつながっていくと思っています。そうした好循環を生み出すためにも、一定の目標感は必要だと感じています。
大久保 BtoBでは、これまで東京で2回、ワークショップを開催してきました。今後は地方開催も検討していますが、船社の多くが東京に拠点を置いているため、コストや運営方法を工夫する必要があります。大阪など関西圏での開催を望む声もあり、ワークショップ形式がよいのか、セミナー形式がよいのかを含めて検討しているところです。
あわせて、全国の旅行会社が参加できるようウェビナーも実施しています。セミナー会場に来られない地域の旅行会社に対し、船の売り方や最新情報を旅行会社目線で提供することを意識しています。こうした場を通じて、まずはクルーズを知ってもらうことが第一歩だと考えています。
大久保 具体的な施策は現在、関係各所と協議している段階です。ただ一方で、JATAは業界団体であり、直接的なBtoC展開には限界があります。JOPA(日本外航客船協会)やJICC(日本国際クルーズ協議会)との連携に加え、どうすれば効果的に情報を訴求できるのか、新たな切り口を模索しているところです。
同時に、先ほども話があったようにクルーズは個人旅行にとどまらず、MICEや教育旅行、法人需要などへの展開も可能です。旅行会社の法人部門や企業顧客を通じたtoCへの広がりも含め、多様な経路で市場を拡張していく必要があります。JATAとしては、そうした展開の参考となる情報や提案を旅行会社に提供し、最終的に消費者へ届けてもらう役割を担っていきたいと考えています。
松浦 100万人という数字は結果にすぎません。本当に大切なのは、クルーズが特別な商品ではなく、旅行の選択肢の一つとして当たり前に語られる状態をつくることです。その担い手は旅行会社です。市場が広がることが見えている分野だからこそ、ぜひ多くの旅行会社に一歩踏み出していただきたいと思っています。