【視察レポート】台湾最新情報 台南と阿里山-MATCH 松宮英範氏
台南に1泊していよいよ阿里山へ。今回は台南から1泊2日でドライバーガイドと車をチャーターして向かう。まっすぐ行くと約3時間。阿里山といえば、阿里山鉄道が有名だ。2009年の台風で寸断された列車が2024年、実に 15年ぶりに全線開通した。前職の旅行会社でも、始発の嘉義駅から4時間以上に及ぶ阿里山鉄道に乗るツアーを発売しているが、1日1往復しか便がない為、また団体で早めにチケットが押さえられ、予約は取りづらくほとんど完売している。私も嘉義駅からは乗車が叶わなかった。ただし、阿里山鉄道はこの⾧距離線に加えて、他にも阿里山駅から2路線あるので、短区間なら予約なしでハイキングしながら乗車が可能だ。私もこれに挑戦する。
阿里山登頂の前に、片道2時間で着くYUYUPAS Cultural Parkへ。山の中腹にある少数民族の里で広大なお茶畑を望める。阿里山はお茶の一大産地で、現地で購入した香り高い烏龍茶を飲みながら、この原稿も書いている。この施設は台湾で最も数の少ない少数民族が運営していて、少数民族の歌や踊り、生活トークショーなどを楽しめる。次に訪れたのが奮起湖老街。阿里山鉄道駅のある奮起湖という美しい街の散策だ。まず、鉄道駅自体が美しい。1日1便しかないので、観光客は皆、線路に降りて山の中の鉄道駅で写真を撮っている。SLの展示もあり、ステンレスのお弁当箱で食べる有名な駅弁で腹を満たし、ミニ九份のような老街歩きもまた楽しい。
さらに進めば、「老老」街まであり、100年昔の老街は日本のノスタルジックな看板が掲げられ懐かしかった。台湾で懐かしさを感じるのが少しおかしい。山道をさらに車で登り進むと標高2100mの阿里山観光センター(駐車場)まで行くことが可能。ここより上は、車は規制されていて、鉄道、徒歩、宿泊者専用シャトルバスに乗り換える必要がある。初日は、夜の18時すぎに到着したが、大変な賑わいであった。阿里山はご来光観光としても有名なので、皆、早朝まで駐車場で仮眠をとり、日の出の時間にあわせて運行される鉄道に乗るらしい。
私は、ご来光は諦め、山の中のラグジュアリーホテル「阿里山賓館」でゆっくり過ごしたい。100年の歴史を誇る由緒あるクラシックホテルで値段も一流だ。マイカーでの乗り入れは規制されているので、駐車場に車を置き、シャトルバス(30分に1本)に乗り換えて行く(所要5~6分)。歴史的な本館と、モダンな新館の2つで構成され、両館ともリノベずみ。本館は、6階に旧レセプションが保持され、50年代の珈琲館とともに博物館の役割もしている。蒋介石のパネルや、かつての日本総督、歴代の台湾首相の泊まったVIPルームもある。
特筆すべきは7階の展望台。阿里山の美しい景色が眼前に迫り、西向きで夕陽の名所でもある。部屋は2つの館でかなり異なり、歴史的な本館は当然クラシックで、狭いしシャワーしかないが落ち着いた装いである。モダンな新館は、暖炉ストーブ(フェイク)がアクセントになり、4つのシングルが並ぶファミリールームなども備え、バスタブもある。レストランは1階のブッフェのみで、ホテルの値段の割にさほど豪華ではないが、標高2000mの山の上でこれを頂けると考えれば悪くない。Wi-Fiもサクサクと繋がり、ありがたい(阿里山は、山のどこでも完全に携帯が繋がる)。また、この山の上で、まさかのウォシュレット!実に快適な山岳リゾートだ。
朝食後、ホテルに荷物を預け、目の前のハイキングロードへ。遊歩道が整備されている。巨木群を歩くコースや、池を目指すコースなど多岐に渡る。アップダウンも遊歩道の階段になっていて歩きやすい。ただし、空気が薄いので、登りは肺にこたえてしんどい。訪れたのは11月だったが気温が20度あり(台南は30度)、風もなく、歩くと暑いので、ずっと半袖であった。当日の気候コンディション次第で持ち物を変えたいのがハイキングだが、その日の気候で不要な荷物は全てホテルに預けられるのが便利。
ホテルに泊まらず駐車場から歩く場合も、状況に応じて荷物・服装を車に置いて調整できるので、阿里山は実に観光しやすい。半日程度、ゆっくり自分のペースで散策を楽しめる。休憩スポットもあり、小さなお店が並び、飲食が楽しめる。ゴミ箱も要所要所で設置されている。自動販売機はないが、飲み物はお店で購入できる。小さなプラスチックボトルに阿里山烏龍茶の茶葉を冷やして飲んだコールドウーロン茶は美味かった。ハイキングをしていると、山中に小学校やお寺が突然現れる。少数民族が通う今も現役の学校と知り、驚く。この山中にも集落があり、生活が営まれている。
最後に鉄道体験だ。ホテルの近くには2つの鉄道駅がある。神木駅と沼平駅。1日1便の嘉義駅からやって来る阿里山鉄道とは異なる路線で、それぞれ神木線、沼平線と2つの線が、駐車場にある阿里山駅から出ている。ひと駅で10分程度で森の中を爽やかに進む。ハイキングの後、気軽に乗り込めて楽しい。1名100元で予約も必要ない。
ホテルに荷物を置いている場合は、鉄道で駐車場にある阿里山駅まで行った後に、またシャトルバスに乗ってホテルまで行き、荷物を急ぎピックアップ、そのまま折り返しのバスに乗ることになるので、この点だけ要注意。様々な楽しみ方のある阿里山だが、日本人には1組しか出会えなかった。今後、もっとメジャーになっても良さそうだ。
株式会社MATCH代表。大学卒業後、大手旅行会社で26年勤務。主に富裕層向けの海外ツアーを手掛ける。50歳を機に、コロナ禍の2021年に独立起業し、ニッチなホテルのプロデュースと集客支援を行う。インバウンド向けのミニホテルや長期滞在型のコンドミニアムホテル、関東近郊のリゾート地で展開する一棟貸切タイプのラグジュアリーヴィラなど現在15施設の運営や集客に携わる。その他、集客にお困りの施設の宿泊コンサルタントや、神奈川県で第3種の旅行業登録、中小機構のアドバイザー、各種講演や大学の講師なども務める。大阪出身、横浜市在住。





