訪日客4268万人で過去最高、アウトバウンドも着実回復 観光庁長官が成果と課題示す

  • 2026年1月21日
村田茂樹観光庁長官

 観光庁の村田長官は1月21日の定例会見で、2025年の訪日外国人旅行者数が4268万人と過去最高を更新したことを明らかにした。インバウンド消費額も9.5兆円規模に拡大する中、出国日本人数についても前年比13%増と回復基調が続いていると説明し、「インバウンドとアウトバウンドの両立」による持続可能な観光の重要性を強調した。

 村田長官は会見冒頭で、2025年12月の訪日外国人旅行者数が約362万人となり、12月として過去最高を記録したと報告した。通年では約4268万人に達し、初めて4000万人を突破した。長官はこの結果について、「初めて4000万人を上回り、過去最高となった。大変大きな成果である」と述べ、官民の継続的な取り組みが結実したとの認識を示した。

2025年訪日外国人数・出国日本人数(前年比)
訪日外国人数出国日本人数
2024年2025年前年比2024年2025年前年比
1月2,688,4783,781,629140.7%838,581912,298108.8%
2月2,788,2243,258,491116.9%978,8841,181,062120.7%
3月3,081,7813,497,755113.5%1,219,7891,423,449116.7%
4月3,043,0033,909,128128.5%888,767961,386108.2%
5月3,040,2943,693,587121.5%941,7091,076,756114.3%
6月3,140,6423,377,985107.6%930,2291,054,045113.3%
7月3,292,6023,437,118104.4%1,048,8231,205,435114.9%
8月2,933,3813,428,406116.9%1,437,1261,648,279114.7%
9月2,872,4873,267,228113.7%1,212,5451,394,525115.0%
10月3,312,1933,896,524117.6%1,148,5021,243,575108.3%
11月3,187,1753,518,000110.4%1,175,1171,330,014113.2%
12月3,489,8883,617,700103.7%1,187,2101,300,700109.6%
1~12月36,870,14842,683,600115.8%13,007,28214,731,500113.3%

出典:日本政府観光局(JNTO)

 市場別では、中国からの訪日客数が12月に前年同月比で大きく減少したことに触れ、「訪日自粛の呼びかけなどの影響があると考えられる」と説明した。一方で、アジア全体では横ばい圏を維持し、欧米豪や中東からの訪日が前年同月比で大きく伸びている点を強調した。「欧米豪や中東諸国については、力強い成長軌道が続いている」と述べ、特定市場への依存を避けた多様な誘客の重要性を示した。

 宿泊単価については、中国市場の減速による単価下押しとの報道も見受けられるが、「主要都市における宿泊単価は、前年同時期と比べておおむね横ばい程度で推移している」と述べ、現時点では大きな下落には至っていないとの見方を示した。その上で、「消費単価の高い旅行者を誘致することで、持続可能な観光の実現に取り組みたい」と語った。

 インバウンド消費については、2025年10〜12月期の訪日外国人旅行消費額が約2.5兆円と四半期として過去最高を更新し、通年では約9.5兆円に拡大したと説明した。長官は「2019年のコロナ前(約4.8兆円)と比べると約2倍だ」と述べ、インバウンド消費が日本経済に与える影響の大きさを強調した。さらに、「経済波及効果は訪日外国人消費額のおおむね2倍程度で推移している」とし、2025年の波及効果は約19兆円規模になるとの見通しを示した。

 1人当たりの旅行支出については、2025年暦年で約22.9万円となり、2025年目標としていた20万円を上回ったと説明した。村田長官は「滞在日数の長期化が有効な策だ」と述べ、平均泊数の増加が消費単価の底上げにつながっていると分析した。中国からの訪日客減少については「注視が必要」としつつも、「滞在日数が長い欧米豪の旅行者による消費は、単価の維持や増加に寄与していく」との考えを示した。

アウトバウンド回復基調も「まだ道半ば」
島根県東部地震、観光は平常運営も予約減少に懸念

 一方、アウトバウンドについても着実な回復を強調した。2025年の出国日本人数は約1473万人となり、前年から13%増加した。長官は「コロナ以降の回復傾向が維持された」と述べ、国際線便数の増加や官民連携による需要喚起が背景にあると説明した。ただし、「インバウンドに比べると、コロナ前からの回復はもう少しあってもいい」と率直な認識も示した。

 アウトバウンド促進については、次期観光立国推進基本計画でも重要な柱に位置付ける考えを示し、「2030年に向けては、インバウンドだけでなくアウトバウンドについてもしっかり取り組んでいきたい」と述べた。国際観光旅客税の増額に関しては、出国者の負担増だけでなく、空港での出入国手続きの円滑化や安全・安心な旅行環境整備に活用される点を挙げ、「トータルで理解をいただきたい」と求めた。

 このほか、1月6日に発生した島根県東部を震源とする地震について、宿泊施設や観光施設は概ね平常通り運営されていると説明した一方、予約減少などの影響が出ているとして、正確な情報発信への協力を呼びかけた。