精算は競争領域ではない──インテージテクノスフィアが語る旅行業界精算プラットフォーム構想
旅行需要の回復が進む一方で、旅行会社や宿泊・観光施設の現場では、人手不足や業務負担の増大が課題となっている。予約や販売といったフロント業務ではデジタル化が進む一方、精算業務では依然としてアナログ作業や属人化が残り、生産性向上の足かせとなっている。インテージテクノスフィアでは、こうした課題について以前から大手から中小まで幅広い旅行会社へのヒアリングを重ねてきたほか、昨年実施されたJATAの旅行業デジタル化アンケートにおいても、精算業務はデジタル化が最も遅れている領域であり、請求書(紙)を前提とした業務が効率化の妨げになっていることが示されている。
こうした裏付けによる課題に対し、同社は「旅行業界精算プラットフォーム(仮)」の構想を打ち出した。精算は競争領域ではなく、業界全体で協調すべき領域だという。同社が精算DXに取り組む背景と、第一段階として位置づけるクーポン精算効率化の狙いについて、エンタープライズ第2本部営業企画推進室の川島氏、百瀬氏、ならびに同本部旅行BI部の竹原氏に話を聞いた。
川島 最大の課題は、需要が回復すればするほど、精算業務の負荷が直線的に増えてしまう構造にあります。販売チャネルは多様化していますが、その後処理はすべて精算に集約されます。営業や販売は比較的投資や人員を割きやすい一方で、バックヤードは後回しになりやすく、人手不足の影響を最も受けている領域だと感じています。
竹原 現場の声としても、売上回復を素直に喜べない状況があります。精算業務は泥臭く、人の手を必要とする作業が多い業務です。施設ごとに請求書の形式やルールが異なり、内容確認や照合作業に多くの時間を取られています。
川島 予約や販売といったフロント領域では、Web化やシステム化がかなり進んできました。一方で、精算業務は長年の商慣習が色濃く残り、業界全体としてはDXが進み切っていない領域だと見ています。特に中堅・中小の事業者ほど、その傾向は顕著だと感じています。
竹原 当社は40年以上にわたり、旅行業界の精算業務に携わってきました。その中で、精算は最も属人化しやすく、改善の余地が大きい領域だと感じてきました。旅行会社側だけでなく、宿泊施設や観光施設側も、各社ごとに異なる精算ルールを理解しなければならず、双方が負担を抱えている状況です。



