J.D. パワーのホテル調査、料金上昇下でも宿泊満足度安定 各部門トップのブランドは?
J.D.パワージャパンは「2025年ホテル宿泊客満足度調査」を発表した。宿泊料金の上昇が続く中でも、総合満足度は維持または向上しており、効率化とホスピタリティの両立がホテル経営の鍵となっている。
円安やインバウンド回復、万博需要などを背景に、都市部を中心に宿泊料金の上昇が続いている。調査では、アッパーアップスケールを除く4部門で前年より約1000円の上昇が確認されたが、顧客満足度は全体的に堅調を維持した。特にエコノミーホテル部門では前年比12ポイントの上昇を示し、コスト上昇環境下でも顧客体験の質を保つ取り組みが奏功している。
注目されるのは「チェックイン/チェックアウト」満足度の向上。宿泊特化型ホテルを中心に、自動チェックイン機やスマートフォンによる非対面手続きが浸透しており、ミッドスケールおよびエコノミーホテルでは自動化利用率が前年比10ポイント以上増加した。エコノミー部門では自動チェックインの方が対面対応よりも満足度が高く、迅速性が評価された。一方で、フルサービス型ホテルでは依然としてスタッフによる丁寧な接客が満足度を支える要因となっており、顧客層によって求められる体験価値が異なる傾向が見られる。
また、スタッフによる挨拶や気遣いなどの積極的な対応があった場合、総合満足度が約100ポイント高くなる傾向が確認された。自動化が進む中でも、人的サービスの質が顧客満足に大きく影響していることが明らかとなった。
2025年の総合満足度ランキングでは、アッパーアップスケール部門でオークラ、アップスケール部門でハイアットリージェンシー、アッパーミッドスケール部門で京王プラザホテル、ミッドスケール部門でベッセルホテルズ、エコノミー部門でスーパーホテルがそれぞれ1位を獲得した。スーパーホテルは11年連続でトップを維持している。
J.D.パワーは、ホテル業界の今後について「効率化・省力化の進展とともに、人の対応による『気遣い』『安心』『信頼』の価値をどう届けるかが経営の鍵になる」と指摘している。デジタル化が進む今こそ、業務効率とホスピタリティを両立させ、体験価値全体をデザインすることが求められている。

