TIFS会員インタビューVol.21 「トライセクター」の視点が地方を変える—高知市議・TIFS副理事 横山公大氏が語る次の観光戦略
横山 オルトルには二つの柱があります。1つ目が「牡蠣小屋」。9年目に入りました。2つ目がコンサル事業で、「一業一社」に限定して支援しています。
小屋事業の魅力は、ローリスク・小資本で地域資源を活かせる点にあります。海沿いの空き家を小屋に転用し、家具はビールコンテナで済む。災害があってもダメージが小さく、地域性を最大に生かせるモデルです。例えば、山間部で鳥の生産が盛んな地域なら「焼き鳥小屋」など、特産品に合わせて無限に応用できます。
また、コロナ禍で苦しんでいた豆腐屋さんを救うために開発した「おとうふ肉吸いたかはし」は、席8つの小さな店ながらお昼の営業だけで1日80名を集める繁盛店になりました。小屋事業は地方観光とも親和性が高く、「地域資源 × 小資本 × 高付加価値」で滞在価値を高める新しい観光モデルになり得ると考えています。
横山 よく「自然・歴史・人が一級」と言われますが、それは日本中のどの地域にも言えること。高知の魅力の核心は「おきゃく文化」にあります。食と酒をコミュニケーションツールとして使い、場にいる全員を笑顔にしていく。知らない人同士でも相席から盛り上がるひろめ市場は、その象徴です。この“開かれた交流”こそ、高知の真の魅力だと思います。
横山 高知には“おもてなしのスペシャリスト”がたくさんいます。自然ガイド、釣り、宴会、山歩き…。彼らの専門性をカテゴリー化し、ガイド1日10万円がきちんと成立する仕組みを作るべきです。
また、TIFS副理事としては、民間(経営)・公共(議員)・社会(団体)の三つを横断して得た経験を、観光産業の未来づくりに還元していきたい。
そして若い世代には、声を大にして言いたい。「複業を恐れず、トリプルワーク以上を標準にしてほしい」。給与体系が上がりにくい観光業界では、複数の収入源(財布を3つ持つ)が必須です。好きなこと、興味があることを二つ三つと増やしていくと、異なる経験が結びついて新しい価値が生まれる。必ず観光のフィールドでも活きてきます。それが、これからの観光業界を生き抜く鍵だと信じています。
※TIFS運営からのお願い:会員の限りある時間と苦労を重ねて培ってきた知見を尊重し、情報収集目的のみのお問い合わせはお控えください。


