TIFSパブリック・ビューvol.1 那覇市議会議員・奥間綾乃氏に聞く「観光と暮らしが調和する都市・那覇へ」

  • 2025年10月21日
  • 出典:一般社団法人新観光創造連合会(TIFS)

 TIFSでは、旅行業界と社会をつなぐ視点を届ける新シリーズ「パブリック・ビュー」をスタートします。業界内の声だけでなく、政治・行政・地域といった“外からの視点”を共有し、観光産業の未来をともに考える場にしていきます。その第1回は、那覇市議会で3期目を務める奥間綾乃議員に、観光政策や旅行会社への期待について伺いました。

okumaayano
-まずは自己紹介をお願いします。

奥間議員 私は39歳で初めて市議会に挑戦し、現在3期目を務めています。これまで自営業や子育てを経験し、市民の暮らしに寄り添うことの大切さを学んできました。那覇は観光が大きな柱ですので、「観光で暮らしと経済を豊かにする」ことを目標に、子育て支援や経済の活性化、伝統文化の継承など、幅広く取り組んでいます。

-観光振興の現状について、どのようにご覧になっていますか。

奥間議員 コロナ禍を経て、アジアからの観光客は回復が早いですし、欧米やオーストラリアからの訪問も着実に増えています。市としては国際線の回復支援やMICE(会議・展示会等)の誘致、那覇ならではの都市型観光に力を入れているところです。旅行会社の皆さんにとっては、欧米豪や富裕層向け市場、そしてクルーズ観光は今後さらに注目できる分野だと考えています。

-旅行会社への支援策については。

奥間議員 那覇市では、旅行会社向けにプロモーション支援やモニターツアーの実施、各種キャンペーン補助などを行っています。観光資源としては首里城再建や琉球王国の歴史文化、ナイトタイムエコノミーが大きな強みです。例えば「牧志公設市場での食文化体験」や「夜のイベント開催」は、観光客からも高く評価されています。

-観光の進展と市民生活のバランスについては。

奥間議員 観光が盛んになる一方で、交通渋滞や生活環境への影響もあります。今後は公共交通の利用促進や観光ゾーンの工夫、また地元商店街や地域住民と観光客が自然に交流できる仕組みづくりを進めることで、暮らしと観光の調和を図っていきたいと考えています。

-サステナブルツーリズムへの取り組みはいかがでしょうか。

奥間議員 那覇市は「ゼロカーボンシティ」を掲げ、再生可能エネルギーの導入や環境保全を進めています。観光においても渋滞対策やごみ削減、伝統芸能の継承といった施策を進めているところです。旅行会社の皆さんには、地元食材を取り入れたツアー造成やエコツーリズム、地域イベントへの参画などを通じて、「地域と共に歩む観光」にぜひ力を貸していただきたいですね。

-観光人材の育成についてはどう取り組んでいますか。

奥間議員 通訳ガイド、バスドライバー、宿泊スタッフの不足は全国的な課題です。那覇市としても研修や資格取得の支援を行い、働きやすい職場づくりを応援しています。さらに地元の若い世代が観光業を将来の選択肢にしやすいよう、スキルアップ講座やキャリア教育を強化し、やりがいを感じられる環境を整えていきます。

-最後に旅行業界へのメッセージをお願いします。

奥間議員 那覇の観光は、市民の暮らしと一体となって成り立っています。旅行会社の皆さんには、地域と観光客をつなぐ架け橋としての役割を大いに期待しています。首里城や公設市場といった伝統的資源から、新しい都市観光やナイトプログラムまで、多彩な商品化を一緒に進めていければ嬉しいです。持続可能で魅力ある観光都市を共に育てていきましょう。

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