西オーストラリア州、日本に注力、ANA便の冬期デイリー化も追い風に
西オーストラリア州政府観光局(TWA)からこのほど本局局長のアニーク・ブラウン氏が来日し、本誌などの取材に対して日本市場への意欲や今後の活動方針を語った。TWAでは、例年現地からサプライヤーが来日するJapan Roadshowを実施しているが、今回は6年ぶりに本局局長も来日。セミナーとレセプションを開催して現地最新情報を紹介したほか、旅行会社との業務提携の発表や大阪・関西万博で州独自のイベントも開催した。
ブラウン氏は、セミナー、レセプション、業界メディアによるインタビューのすべての場面で「日本は最重要市場のひとつ」と強調。西オーストラリア州を訪れた日本人旅行者の数は今年3月までの12ヶ月間で3万2000人でコロナ前の3万9000人には届いていないものの、この3年で9000人、2万9000人、3万2000人と回復してきており「今後の成長に強い自信を持っている」とのこと。また、人数では全市場で9位ながら消費額は1.27億豪ドルで6位となっていることも、TWAとしてターゲットとするハイイールドトラベラーの多い市場として高く評価した。
今回のJapan Roadshowでは、東京でのイベントに加えコロナ後では初めて大阪も訪問して両都市で業界イベントを実施。特に大阪では大阪・関西万博のオーストラリア・パビリオン内でビジネスイベントなどを実施し、10人以上の団体で条件を満たすと1人あたり50ドルを補助する制度もアピールした。
今後の成長の鍵と位置付けるのが旅行会社や航空会社との協業で、旅行会社では「HIS、JTB、阪急交通社、クラブツーリズムなどパートナー各社との共同キャンペーンへの投資を予定している」ところ。このうちHISについては、2年間の複数年を対象として合計7000人をターゲットとする大型のプロジェクトを始動する。
また、8月19日に全日空(NH)が成田/パース線を12月1日から来年4月19日までの期間デイリー運航を再開することを発表したが、これに合わせてTWAとしても活動の強化を計画。航空路線の維持、増加を目的とする州政府の特別予算を投じられる見込みだ。
さらに来年には、2023年に日本でも発表したグローバルブランドキャンペーン「WALKING ON A DREAM - さぁ、夢の世界へ旅立とう」の第2弾も予定。現在はキャンペーンムービーの撮影を開始したところで、第1弾は西オーストラリア州が持つ多様な情景の数々を「夢」のような美しい映像で紹介したが、第2弾ではより体験に焦点を当てる考え。
これについてブラウン氏は、「日本の旅行者は食事やワイン、自然や野生動物などの体験を重視する」として新キャンペーンとの親和性を示唆。そして第1弾の際には新宿と原宿のデジタルサイネージで「肉眼3D」の映像を放映するなど大きな露出をはかったのに対し、第2弾でも「同じことをするわけではないが前回と同じくらい美しく、前回同様の(注目される)ロケーションでご紹介したい」と意欲を語った。
このほか、今回のJapan Roadshowではアボリジナルピープルが自ら所有、運営するアクティビティサプライヤーが初めて来日。アボリジナル文化体験についてはコロナ後にTWAとして取り組みを強化しており、主催する研修旅行などではキングスパークで歓迎のセレモニーを組み込むなどして旅行会社にも商品化を提案。すでに一般団体などで実を結びはじめているという。