令和トラベル受田氏に聞く、国内参入の真意とインバウンド接続のロードマップ

 令和トラベルが運営する旅行アプリ「NEWT」が、宿泊施設向け販売管理システム「TL-リンカーン」とのシステム連携に伴い国内ホテル事業を本格始動した。サードパーティ在庫中心の試行段階から、自社在庫の販売へと踏み込んだ背景には、若年層の厚い顧客基盤、AIを組み込んだ使いやすい管理画面、そしてグローバル展開の布石がある。国内需要の先行きやインバウンド強化、商品ラインナップの拡張まで、事業戦略を同社執行役員の受田宏基氏に聞いた。

受田宏基氏
-国内宿泊施設の取り扱いは今年1月から既に開始されていたかと思います。今回「本格始動」とした意図を教えてください。

受田宏基氏(以下敬称略) これまでは海外ホテル販売と同様にサードパーティ経由の在庫連携を中心に運用していましたが、今回から当社の直接在庫で販売を進める体制へと切り替えたことで「本格始動」と位置付けました。

-NEWTが国内ホテル事業で発揮できる競争力は何でしょうか。

受田 一つは顧客基盤。NEWTは20〜30代が6割、2名利用中心、平均単価20万円前後と高い旅行予算を持つお客様が多いのが特徴です。基本的にはこの分野で価格での優位性を出すことは難しいと考えていて、当社では海外ツアーでの購入体験やポイント還元との接続により、国内でも自然に選ばれる導線を目指しています。現在旅行金額の5%を還元していて、ポイントを活用した国内と海外の循環が他社との違いになります。

-施設側への価値提案についてはいかがでしょうか。

受田 管理画面「NEWT Partner Hub」にAIエージェントを組み込み、登録や在庫・料金の設定といった煩雑な作業を平易にしています。サイトコントローラー連携も進め、掲載までのリードタイムを短縮する。実務工数の圧縮と、若年×高予算層への到達で、施設の収益性を底上げすることが提供価値となります。

-料金や手数料の考え方について教えてください。

受田 国内主要OTAの水準を意識しつつ、初期費や固定費を求めないシンプルな設計でスタートしました。露出メニューや追加機能で不透明に積み上がることがないよう、施設にとって分かりやすく、実効的な条件で長く付き合える関係を志向しているためです。他社と比べても当社がお得に感じていただけるのではないかと思います。