ブランドUSA、"回復顕著"な日本市場に注目 新広告展開と販促支援を強化

ブランドUSAシニア・バイス・プレジデント(グローバルマーケット担当)兼 チーフ・トレード&プロダクト・ディベロップメント・オフィサーのマルコム・スミス氏

 訪米旅行の本格回復を目指し、ブランドUSAが戦略を強化している。日本市場については、前年比での着実な回復が進む中、2024年1月から2025年3月にかけて展開された「日米観光交流年」の成果や今後のプロモーション施策が注目される。取材に応じたブランドUSAのマルコム・スミス氏は、日本市場の重要性と今後の可能性を強調しつつ、8月から始動する新キャンペーン「アメリカ・ザ・ビューティフル」への期待を語った。

 ブランドUSAでグローバルマーケットを統括するマルコム・スミス氏は、日本市場について「コロナ後の国際市場の中でも特に回復が顕著なマーケットの一つ」と述べた。2024年の訪米日本人数は前年比21%増、2025年前半も4%増を記録しており、海外市場において日本は現在第4位の送客国となっている。

 この背景には、今年3月まで展開された「日米観光交流年」が一つの契機となった。ブランドUSAでは、MLB開幕にあわせたプロモーションや旅行会社向けセミナー、消費者への認知拡大施策を展開。スミス氏は「いろんな見方があると思うが、今年の他の海外市場からの訪米旅行者数が減少している中で、日本市場が4%増を記録しているのは日米観光交流年による取り組みが一因になったのでは」と評価した。

 今後に向けては、8月から展開予定のグローバル広告キャンペーン「アメリカ・ザ・ビューティフル」に注目。同キャンペーンは米国各地の魅力を感情的に訴求する映像やSNSを活用し、旅行者一人ひとりの関心に応じた旅程提案を行うAI搭載型ウェブサイト「AmericaTheBeautiful.com」と連動して展開される。スミス氏によれば、日本は同キャンペーンを展開する世界8市場のうちの一つとして選定されており、秋以降の展開では旅行会社向けに素材の提供など販促連携も予定しているという。

 また、2026年の建国250周年「アメリカ250」、FIFAワールドカップ、ルート66制定100周年といった国際的イベントも誘客の追い風とされており、ブランドUSAではこれらを活用した地方誘客の強化にも力を入れる。特に「ゲートウェイ以遠」の訪問を促すべく、フェアバンクスやアラバマなどの観光局も日本市場向けセールスミッションに参加し、認知拡大を図っている。

 また、地方周遊においては車に依存しない旅行モデルについて言及したスミス氏。例として「アムトラックは新幹線ほどのスピードはないが、米国内のあらゆる場所にルートを持っており利便性が高い。米国内は動きにくいとのイメージもあるが、それを覆すような情報を提供していきたい」と強調した。

 今後は、訪米旅行を販売する旅行会社に向けた研修ツアーや素材提供、販売促進キャンペーンも強化する予定で、2026年には「アメリカ250」プロモーションの一環として、世界各国の旅行業界関係者250名を対象にしたアンバサダー制度の導入も計画しているという。