国内宿泊旅行費は上昇、旅行者数は微減 じゃらん最新調査

  • 2025年7月21日

 リクルートのじゃらんリサーチセンターが実施した「じゃらん観光国内宿泊旅行調査2025」によると、2024年度の国内宿泊旅行実施率は前年度比で微減となった一方、旅行費用は上昇し市場全体の規模は拡大したことが明らかになった。調査結果からは、若年層の旅行離れや消費の二極化といった市場の構造変化が浮き彫りとなっており、地域には「選ばれる価値」の創出が強く求められている。

 2024年度に国内宿泊旅行を実施した18~79歳の割合は49.3%で、前年度の49.5%からわずかに減少した。年間の延べ宿泊旅行者数は1億2775万人回、延べ宿泊数は2億2308万人泊と、いずれも前年を下回った。特に30代・40代における実施率の低下が顕著で、18~29歳では女性の実施率が唯一6割を超えたものの、全体的な傾向として若年層の旅行離れが進んでいる。

 一方で、1回の国内宿泊旅行にかかる費用は平均6万4100円と前年から3500円増加。交通費や宿泊費、現地消費のいずれも上昇しており、旅行者数の減少にもかかわらず市場規模は8兆1867億円と拡大した。個人旅行が費用全体の約9割を占める中で、特に現地消費の割合が42.4%と高く、地域経済への波及効果は大きい。

 都道府県別に見ると、延べ宿泊旅行者数が最も多かったのは東京都(1154万人)。増加幅では長野県(+41万人)、北海道(+29万人)、新潟県(+24万人)が上位を占めた。前年からの増加率では、茨城県と岡山県がそれぞれ14.2%、10.0%と高かった。

 同行形態では「夫婦2人での旅行」が最多の25.6%で、次いで「ひとり旅」が18.0%。特に男性では50代を中心にひとり旅の割合が高く、女性では若年層を中心に恋人や友人との旅行が多い。中高年層は夫婦での旅行が主流となる一方、30~40代では子連れ旅行の割合が高く、ライフステージによって大きく傾向が異なる。

 旅行に行かなかった理由としては、「何となく旅行をしないまま過ぎた」(26.6%)が最多で、「旅行に興味がなかった」「家計の制約」が続いた。特に40代では金銭的理由が他年代に比べて高い傾向を示した。

 今回の調査では、旅行費用の上昇にもかかわらず満足度は上がっていない点が指摘されており、価格と価値のバランスが問われている。訪日外国人の増加や物価上昇による間接的影響も背景にあり、観光業における「稼ぐ力」の追求が、旅行者満足や地域住民の生活と両立しているかどうかが改めて問われている。