ドバイ、観光復調と日本市場への期待強調「安全・気軽さ」を訴求 今年後半には日本市場向けCPも

  • 2025年7月5日
ドバイ経済観光庁のシャハブ・シャヤン氏

 ドバイ経済観光庁はこのほど、都内でメディア関係者向けイベントを開催し、アジア太平洋地域統括ディレクターのシャハブ・シャヤン氏が登壇した。観光都市としての最新動向とともに、日本市場への期待や取り組みを紹介し、「富裕層向け」の印象を超えたドバイの多様性を訴求した。

 2024年のドバイは、前年比9%増1872万人の宿泊旅行者を記録し、2025年の第1四半期も前年同期比3%の成長を維持するなど、堅調な回復基調にある。アジアからの旅行者も増加しており、日本市場は第1四半期前年比13%、2024年は対前年比で44%増と著しい回復をみせている。

 イベントでシャヤン氏は、ドバイの観光戦略として「気軽さ」と「多様性」をキーワードに掲げた。旅行先を決定する上で重要な要素となる安全性や接続性、コストパフォーマンスなどに焦点を当て、富裕層向けという印象を刷新する狙いだ。シャヤン氏は「ドバイはすべての人の都市であり、ラグジュアリー層だけではなく、あらゆる旅のスタイルに応えられる」と強調した。

 実際、ドバイでは3〜4つ星ホテルの客室数が5つ星を上回っており、1泊5000円台の宿泊も可能だという。日本からの直行便も充実しており、成田・羽田・関空からアクセスが可能で、ビザ免除や治安の良さ、英語の通用度の高さなど、日本人旅行者にとっての「気軽さ」を支える要素が揃っている。また、空港から市中心部まで30分以内でアクセスできるなど、都市構造の利便性も訴求した。

 続けて食文化の多様さにも触れ、200カ国近くの住民が暮らすドバイでは、ミシュラン星付きの高級店からストリートフード、地域に根差した郷土料理まで幅広い選択肢が揃う。ドバイファウンテンやパブリックビーチなど、無料で楽しめる観光地も豊富で、旅行者の満足度を高める要素となっている。

 さらに、ドバイではウォータースポーツ、ゴルフ、ヨガなど多彩なアクティビティが年間を通じて楽しめるほか、レアルマドリードのテーマパークや大規模ホテルに併設されているキッズクラブなど、家族向けの体験も充実している。

 アクセシビリティとサステナビリティにも配慮されており、バリアフリー対応の公共空間や、マイボトル持参者向けの給水ステーションなどペットボトル削減に取り組む「Dubai Can」などの施策も紹介された。ドバイ経済観光庁は今年5月に、国際資格認定・継続教育基準委員会(IBCCES)より「認定自閉症観光地」に認定されたことを発表している。

 また、中東地域の情勢不安の影響について問われたシャヤン氏は、「ドバイの観光オペレーションに大きな支障は出ていない」とし、安全性や都市機能の強靭さを強調するとともに、影響については「長期的に考えていく必要がある」と慎重な姿勢を示した。

 シャヤン氏によると、今年後半には日本市場に特化したB2Cキャンペーンも予定しており、「誰もが楽しめる都市」としてのブランディングを一層強化していく構えだ。