富裕層やMICEを軸に、サステナビリティへの取り組みを通して「モナコらしさ」をアピール モナコ観光会議局

  • 2025年7月3日
モナコ政府観光会議局ディレクターのギー・アントネリ氏

 このほどモナコ政府観光会議局ディレクターのギー・アントネリ氏が大阪万博に合わせて来日。大阪市内のホテルで「比類なき美しい国、モナコ 夕食会 2025」を開催し、関西圏の旅行業界およびメディア関係者ら約80名が参加した。またアントネリ氏は本誌記者のインタビューに応じ、モナコ観光市場の現状と、今後の観光戦略について語った。

■ 日本市場は緩い回復ながらも大型MICEの決定も

 モナコ政府観光会議局の統計によると、2019年にモナコを訪れた観光客の宿泊数は59万7925泊。2024年は同年の約87%にあたる52万729泊。この現状について、アントネリ氏は主要市場のフランスやイタリア、ドイツ、英国などの近隣欧州諸国や米国市場が堅調、あるいは2019年以上に推移する一方で、2024年のアジア市場の伸び率は対前年比0.6%にとどまるなど、アジア市場の回復が全体的に遅いことが一因と見た。

 日本市場は、2019年はアジア市場最大シェアの1.3%を占めていたが、今なお回復の動きは鈍い。アントネリ氏はロシアのウクライナ侵攻による航空路線の長時間化やインバウンドによる座席減、物価高騰や円安など日本の現状に理解を示す一方で、「2025年5月末までの統計では、日本人宿泊者数は対前年同期比20%を記録しており、今夏以降の大型MICEも複数件決定している」と期待を寄せる。

 また、同氏によると、ヨーロッパ主要都市部のホテル価格の高騰は2024年のパリオリンピック以後も依然続いており、「ホテルによっては、パリやロンドンの高級ホテルとモナコのラグジュアリーホテルとの間の価格差がなくなってきている」とも話した。

 こうした状況を交えつつ、モナコ政府観光会議局は日本市場に対し、富裕層へ向けたラグジュアリーな滞在や、市場全体の約23%を占めるMICEの誘致を中心にプロモーションを図る。具体的には"レスポンシブル・ラグジュアリー(Responsible Luxury/地球に優しいラグジュアリー)"のスローガンのもと、「モナコのDNA」といえるラグジュアリーホテル滞在や美食に代表される高品質なサービス、F1、音楽やバレエといった文化体験などを土台としつつ、EV車の活用、環境保護認定証取得しているホテルの数々、環境保全などへの取り組みのもと構築されるライフスタイル体験などを提案していく。アントネリ氏は「日本は、モナコが世界で最初に観光局を設置した重要市場だ」として、来訪を呼びかけた。

■ 2026年はモナコ・日本国交樹立20周年

イザベル・ベロ=アマデイ国務大臣兼外務協力大臣

 なお、「比類なき美しい国、モナコ夕食会 2025」には、国務大臣兼外務協力大臣のイザベル・ベロ=アマデイ氏も臨席。「モナコは安全で上質なインフラ、サービス向上に努めビジネスでもレジャーでも唯一無二の体験が提供できるよう取り組み、発信に努めている。日本の皆さんの来訪を心からお待ちしている」と挨拶した。また、2026年はモナコと日本の国交樹立20周年にあたり、両国で記念イベントなどが計画されているという。