日本観光振興協会、国交政務官に観光政策提言 平日旅行促進や海外旅行支援など要望

日本観光振興協会の最明仁理事長と長谷川豊副理事長は27日、国土交通省を訪問し「持続可能な観光立国の実現に向けて(地域と観光産業が抱える課題解決への提言と要望)」を国定勇人政務官に提出した。2030年に訪日外国人旅行者6000万人、旅行消費額15兆円の目標達成を見据え、観光を基幹産業として確立するための具体的施策を求めた。提言では地域観光基盤の整備、人材育成、DMOの強化などを中心に幅広い支援を訴えた。
主な提言のひとつは、地域観光基盤の維持・強化。新技術や人材・投資を地域優先で導入し、観光による地方創生の実現を目指す。また、地域観光の中核を担うDMOの役割を明確にし、持続的かつ戦略的な運営体制を支援する必要性が指摘された。観光の価値や意義についての国民的理解を深めるとともに、地域住民と調和した観光のあり方を追求する人材育成も求められている。
災害対応における観光産業の貢献にも触れ、能登半島地震をはじめとする自然災害や新型コロナウイルスによる打撃からの復旧・復興に際し、観光が果たす役割と、政府による支援の重要性が強調された。とりわけ観光再始動にあたっては、迅速な財政措置や宿泊施設・飲食店への直接支援が求められるとした。
加えて、観光産業の持続的発展には、若年層を含む幅広い人材の確保と育成が不可欠とし、初等・高等教育を通じた観光教育の導入や、観光地における就業環境の整備、外国人材の活用支援などを盛り込んだ。観光地のマネジメント強化、地域資源の再評価、地域一体となったプロモーション体制の構築も併せて要望された。
観光需要の分散化・平準化にも言及し、特定時期や地域への集中による混雑緩和を目的に、平日の旅行促進やMICEの誘致支援、教育界・企業との連携による新しい休暇制度の導入などを提案した。これにより旅行者満足度の向上と、観光従事者の労働環境改善が期待される。
さらに、双方向交流の促進策として、若者の海外旅行支援や教育旅行の推進を訴えた。パスポート取得費の補助、地方空港からのチャーター便支援、海外観光局との連携によるキャンペーン展開などが提案されている。
最後に、観光地・観光産業の再生に向けた補助金の継続的な確保、全国観光DMPの標準化・普及による観光DXの推進も求め、観光を通じた地域活性化と経済成長の実現を政府に働きかけた。