KLMの大阪線、デイリー復活なるか?CXOのバリー・テルフォート氏インタビュー
新プレエコに手ごたえ 日本路線の回復に期待、羽田移転も視野に

KLMオランダ航空(KL)本社からこのほど取締役・CXO(チーフ・エクスペリエンス・オフィサー)兼事業開発担当執行副社長のバリー・テルフォート氏が来日し、本誌の独占インタビューに応じた。2023年にCXOに就任し、ブランドマネジメントやカスタマーエクスペリエンス、ネットワーク計画、機材開発、情報サービスなどさまざまな部門を統括するフォート氏。来日は15年ぶりという同氏に顧客満足度の向上に資するサービスや日本路線の計画、SAFをはじめとしたサステナブル戦略などについて聞いた。
フォート KLMオランダ航空の強みはスキポール空港での接続性にある。ワンターミナル・コンセプトで機能的に設計されており、乗り継ぎがスムーズで欧州のハブ空港としてトップクラスの利便性だ。もちろん環境にも配慮されている。
また、スタッフも強みのひとつだ。我々はお客様との交流を有意義な物にしたいと考えており、スタッフはお客様に思い出に残る旅行体験を提供するため、乗客のニーズに応え、フレンドリーで親密な関係を築けるよう心がけて接客している。
一方で課題もある。それが人材不足とサプライチェーンの混乱だ。
フォート 人材不足については定年に加え、コロナ禍で多くの経験豊富なスタッフが退職しており、コロナ以前の人数を確保するのに苦労している。特にパイロットや整備士といった専門性の高い職種の確保が難しい状況だ。パイロットについてはネットワーク計画にも影響が出ている。こうした人員確保はチャレンジすべきものであると考えている。長い時間がかかるが、コロナ前のレベルに戻していきたい。
もうひとつの航空業界全体における大きな課題はサプライチェーンの混乱だ。シートからエンジンに至るまで、あらゆるパーツの納入に時間がかかっている。
新しいボーイングB787型機やエアバスA320neo型機の導入についても納入が遅れている。我々は継続的に投資と発注を行っており、今後数年で70億ユーロを投資する予定だ。現在も粘り強く何度も交渉しているが、エアバスやボーイングとはそうした継続的な投資を武器にしつつ、今後も継続的に話し続けるしかないだろう。
フォート 現在、A330-200型機を除き、長距離路線を運航する全航空機でプレミアムコンフォートクラス(プレミアムエコノミークラス)の導入が完了している。我々は他社よりもプレミアムエコノミーの導入が遅かったが、これはビジネスクラスやエコノミークラスといかに差別化するかの研究に時間をかけたためだ。
他社はプレミアムエコノミーを「エコノミーよりも良いクラス」としてエコノミークラスを基準に考えているが、我々はビジネスクラスを基準に、ビジネスクラスの満足感を満たしながら料金とプロダクト、サービスのつり合いの取れたプレミアムエコノミークラスを提供している。
プレミアムエコノミーではジャムコによる幅の広い快適なシートが特徴。スカイプライオリティによる優先搭乗が可能で、食事はほとんどビジネスクラスレベルのものを提供している。「ビジネスクラスよりもリーズナブルで良い体験ができる」とお客様からの評価も高い。実はビジネスクラスよりも高評価をいただいている。
一方、新ビジネスクラスはB777-200型機・B777-300型機に順次導入しており、成田線のB777-200型機にはすでに入っている。今回初めてスライドドアを取り付け、軽さにもこだわり数kgレベルにした。プライバシーを十分に確保でき、通路に直接アクセスできるようになっている。