五輪に向け活況のブリスベン、大型イベントや再開発で観光も絶好調
オーストラリア政府観光局が4月28日から5月2日にかけて世界各国から数千人規模の業界関係者を集め旅行商談会「ATE25」を開催したのはブリスベン。クイーンズランド州の州都で、2032年のオリンピック・パラリンピックの準備も進む。
ATE中の記者会見でブリスベン市副市長のフィオナ・カニンガム氏は、「ブリスベンの未来は今日の天気のように明るく晴れわたっている」「ブリスベンほどのペースで成長する都市はそう多くない」と経済の活況をアピール。大規模な開発が進められオリンピックを含む多くの大型イベントが予定されていることもあり、今後20年間の経済成長は68%にもなる見込みという。
ATEの開催は17年ぶりとなったが、ブリスベンではその間に多くの再開発が進められたところ。市内を蛇行するブリスベン川に多くの橋が新たに架けられて旅行者にとっても移動の利便性が増し周遊が容易になったほか、2018年にはエンターテイメント&ライフスタイル関連施設が集まるハワード・スミス・ワーフが誕生。
さらに36億豪ドルを投じて進められているクイーンズ・ワーフの再開発でも、今回のATEで主要会場のひとつとなったIR施設ザ・スター・ブリスベンがすでに誕生。340室の5ツ星ザ・スター・グランドが開業済みだが、今後も4.5ツ星のドーセット、オーストラリア初進出となる6ツ星のローズウッドが開業予定だ。しかもハワード・スミス・ワーフでは更なる再開発の計画も昨年発案されているという。
ちなみに、ATE期間中には各国から集まったメディア関係者がブリスベンを体験する半日ツアーを実施。筆者が参加したツアーでは、昨年12月に開通した橋カンガルーポイントブリッジのすぐ近くでカヌーを体験した後、そこからすぐのハワード・スミス・ワーフで営業するブルワリーレストラン「Felons Brewing Co」で自慢のビールと程よくスパイシーでジューシーなフライドチキンやピザを堪能することができた。
観光産業も絶好調、宿泊数/訪問者数など過去最多
ブリスベンの旅行観光産業も非常に好調で、113億豪ドルとなった観光消費額や市内での宿泊数、さらに国内外からの訪問者数のすべてが過去最高を更新。TripAdvisorやソーシャルメディア上でのハッシュタグ付き投稿をもとに世界の550を超える都市から作成された「ロマンティックな旅行先」としてのランキングでも、パリやメルボルンを抑えて6位にブリスベンが選ばれたという。
またカニンガム氏は子ども向けアニメ「ブルーイ(Bluey)」についても言及。ブリスベンで誕生したブルーイは日本でもテレビ放映されるなど世界中で人気となっているが、2024年11月からブリスベン中心部とブリスベン空港の中間ほどの場所に体験型アトラクション施設「ブルーイ・ワールド」が誕生。期間限定の営業ながら人気の大きさを受けて少なくとも2度延長しており、すでに20万人を超える来場者を記録しているという。
なお、会見ではクイーンズランド州環境・観光大臣/科学・イノベーション大臣のアンドリュー・パウエル氏も登壇。ブリスベン空港が世界各地からの航空路線誘致に成功し今後もさらなる追加が見込めることなど順調さをアピールするとともに、州として2045年までの長期観光マスタープランを策定しているところであり、また新たなブランドキャンペーンを立ち上げたことも紹介。オリンピック・パラリンピックについても、単に開催期間中の訪問者を増やすのではなく開催までの間と開催後にも効果を得ることが重要であり、そうでなければ「せっかくの好機を無駄にすることになる」とも語った。