スイス鉄道パス購入者は+60%に回復、スイス政観日本支局「2019年の宿泊者数目指す」
スイスから来日した鉄道パス販売会社やポストバス、氷河特急など交通関連会社は9月25日、スイス政府観光局とともに公共交通機関を活用した鉄道・バスの旅について「スイス旅行セミナー(交通編)」を開催し、旅行会社やメディアら約70人が参加した。
その席で、スイス・トラベルパスを販売するトラベル・スイスのマーケットマネージャーであるアンディ・ネフ氏は、2023年1~8月に同社でスイス・トラベルパスを購入した日本人は、対前年同期比の60%増を記録したと発表。円安にありながらも、氷河特急やゴルナーグラート鉄道をはじめとするスイス鉄道の旅は、日本市場に対して需要・訴求力ともに高く、来日したスイス側は今後も鉄道など同国公共交通機関の旅の快適性や安全性、質の高さなどをアピールしながらプロモーション展開を図り、まずは2019年の宿泊数まで戻したいとしている。
「日本人が戻ってきた」と話すネフ氏は、スイスの氷河特急やゴルナーグラート鉄道、ベルニナ急行などの特別列車の旅が日本市場に根強い人気を持つ素材であるとしたうえで、「2024年もハイエンド層のFITを中心に、緩やかな手ごたえを感じている」と話す。
また、スイスフランはコロナ禍以前から強い通貨であったため、「ドル高やユーロ高に比べ大幅な高騰感がないこともアドバンテージの一つ」とする関係者の声も聞かれる。ネフ氏もまた、「(スイスの鉄道の旅は)価格に見合う高品質な旅が提供できる」と自信をのぞかせる。
プレゼンテーションでは、スイス鉄道の旅は多様な景観を楽しめる展望車両やネットワークの充実、車内での食事といったサービスの質などを改めて強調。また、氷河特急やゴルナーグラート鉄道、ベルニナ急行、ゴールデンパス・ラインなど鉄道の旅が日本市場における主要なコンテンツの一つであり、さらに鉄道パスを購入することで鉄道やバスなどの公共交通機関や観光船が利用できるほか、子供料金無料、博物館などが無料または割引となるメリットについて説明し、「ぜひお客様に勧めていただきたい」と送客を呼びかけた。
また、スイス政府観光局日本支局長のパオロ・ルナルディ氏は、スイス鉄道で訪れるスイスワインなどの食の魅力、秋のスイス旅などを提案。旅行者層が、Z世代からシニアまで非常に多様化していることから、今後は特にターゲット層を定めずSNSやメディアなど、多様なチャネルを駆使したPRを行い「2019年の宿泊者数まで戻したい。日本はスイスにとって長い伝統を築いてきたパートナーであり、重要市場と位置付けられている」とした。
セミナーではこのほかポストバス、氷河特急、ゴルナーグラート鉄道、レイル・ヨーロッパ(メッセージのみ)が参加。プレゼンテーションを行い、参加者との情報交換や懇談を行った。