英国、早期の完全回復へロケツーリズムで需要喚起、ETA申請は11月から
ドゥ・ボワ 早期回復に向けて、ひとつ興味深い調査結果がある。英国渡航に前向きな旅行者のうち70%はお気に入りの映画やテレビドラマなどに登場する英国内のロケ地を訪れていることが分かった。これはエクスペディアが調査した全世界平均の50%よりも高い水準であり、そして2023年に世界で最も撮影がおこなわれた場所がどこかといえば、ハリウッドなどではなく英国なのだ。
影響の一例として、(Netflixのテレビドラマ)の「ブリジャートン家」が配信開始されると、舞台として使われたカースル・ハワードのウェブサイトへのアクセス数が、特に18歳から24歳のユーザーでは何十倍にも跳ね上がった。同様に、「ザ・クラウン」ではロケ地への航空券検索が53%も上昇した。
このため英国政府観光庁では、「Starring GREAT Britain(※直訳すれば『主演:英国』)」のキャンペーンを準備している。こうした(映画やスポーツなどのSITは)テーマに特化した体験パッケージも多いので業界に向けても紹介していきたい。
ドゥ・ボワ ETAは、短期滞在ビザが不要の全世界の国々からの旅行者を対象に、生体情報の提供や設問への回答を求める。費用は10ポンドで、取得すれば2年間有効で何度でも入国可能。乗り継ぎも対象になる。申請手続きは「quick, light touch, digital」をテーマとしており、基本的にはモバイルアプリから申請してすぐに認可の判断が下る。
まずはカタールから試験的に導入して現在は湾岸諸国に拡大したところで、需要への影響はほぼない状態だ。グローバルには来年から正式に稼働予定で、日本を含む49ヶ国・地域は、来年1月8日以降の入国について今年11月27日から申請が可能になる。
ドゥ・ボワ 重要な質問だ。国内の一部で課題となっていることは間違いない一方で全体で見ればホテルの平均稼働率は77%であり、これが意味することは23%は未稼働であるということ。これはオーバーツーリズムではない。
一部で生じている問題については正しく認知し、最終的にはそうしたエリアへの誘客活動を止めることがゴールだ。そして地方への需要分散に努める。またDMOによる地域の事情に適した対応も進むことが期待される。