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地震受け訪日向け情報発信に課題、7月訪日者数は約330万人で過去最高-秡川長官会見

  • 2024年8月21日
秡川直也観光庁長官

 7月1日付けで観光庁長官に就任した秡川直也氏は21日、定例会見を実施。今月8日に宮崎で発生した震度6弱の地震を巡っては、同日に「南海トラフ地震臨時情報」が初めて出されたことから、宿泊のキャンセルなど旅行への影響が一部報道で取り上げられた。

 同氏によると、西日本の太平洋側に位置する都道府県ではキャンセル数が例年より多かったものの同期間の新規予約も多かった。一方で、和歌山、三重、宮崎、高知ではキャンセル数が予約数を上回るなど影響が大きかったという。

 また、旅行全体としての影響は現在調査中としたものの、JNTOを通して実施した海外22市場の旅行会社への聞き取り調査によれば、東アジア市場では一部キャンセルの動きが見られたとのことだが、インバウンドでは大きな影響はなかった。JNTOが設置する多言語コールセンターでも、臨時情報や鉄道の稼働状況に関する問い合わせが一部発生したが、さほど多くなかった。

 そんな中、訪日旅行者に対する情報発信の部分では問題を指摘。訪日旅行者の多くが利用する観光庁監修の「Safety tips」でも、「臨時情報の詳細へのアクセスが分かりづらい」とのことから、現在早期の改善を求めている状況だ。

海外旅行の復活へ「雰囲気づくり」を

 同日にJNTOが発表した7月の訪日外国人数は、329万2500人を記録し2カ月連続で単月過去最高を更新。秡川氏は、現在の状況が続けば年間を通し「3500万人ほどの着地になる」との見方を示した。

24年訪日外国人数・出国日本人数(対19年比)
訪日外国人数出国日本人数
2019年2024年対19年2019年2024年対19年
1月2,689,3392,688,478100.0%1,452,157838,58157.7%
2月2,604,3222,788,224107.1%1,534,792978,88463.8%
3月2,760,1363,081,781111.7%1,929,9151,219,78963.2%
4月2,926,6853,043,003104.0%1,666,546888,76753.3%
5月2,773,0913,040,294109.6%1,437,929941,70965.5%
6月2,880,0413,135,600108.9%1,520,993930,22861.2%
7月2,991,1893,292,500110.1%1,659,1661,048,80063.2%
8月2,520,1342,109,568
9月2,272,8831,751,477
10月2,496,5681,663,474
11月2,441,2741,642,333
12月2,526,3871,712,319
1~7月19,624,80321,069,900107.4%11,201,4986,846,80061.1%
1~12月31,882,04920,080,669

出典:日本政府観光局(JNTO)

 訪日外国人数の国・地域別では、23市場のうち、韓国、台湾、香港、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、メキシコ、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、北欧地域、中東地域の19市場において7月として過去最高を記録。香港、メキシコでは単月過去最高を更新した。

 アウトバウンドは、今年に入ってからもおよそ19年比60%前後と低調だ。アウトバウンドの復活に関して秡川氏は、政策などによる取り組みよりかは各種メディアへの露出などによる「雰囲気作り」が重要との考えを示した。

 一方、海外への修学旅行・教育旅行は回復傾向にあるとのことから、文部科学省とも連携しながら取り組みを進める方針だ。

4月~6月期の国内旅行消費額

 「旅行・観光消費動向調査」2024年4月~6月期の速報が同日に発表され、それによると、同期間の国内旅行消費額は6兆4518億円。2019年同期比107.6%、2023年同期比114.9%となった。

 1人1回あたりの旅行単価で見ても、19年比121.5%の4万4374円と増加している。但し、直近の旅行単価の推移では、23年7月~9月期(4万5195円)、23年10月~12月期(4万6441円)、24年1月~3月期(4万3339円)と、大きな変化は見られない。