上半期「人手不足」関連倒産件数 調査開始以降最多ペース、産業別では「サービス業他」が最多に

  • 2024年7月10日

 東京商工リサーチ(TSR)によると、今年上半期(1~6月)の「人手不足」を一因とする全国企業倒産件数(負債1千万円以上)は145件で、13年の調査開始以降、上半期で最多を記録した19年(82件)を大きく上回るペースで推移していることがわかった。現状のペースでは、年間最多の23年(158件)を超え300件に到達する可能性も出てきた。

TSR資料より

 145件の内、産業別の最多は「サービス業他(46件)」で、前年同期比で155.5%増。以下、「建設業(39件)」、「運輸業(29件)」と続いた。また、全体数の資本金別では、1千万円未満が91件で全体の6割以上を占めた。形態別では、破産が129件で約9割を占める結果に。人手不足で失注を余儀なくされた企業は、業績悪化に歯止めが掛からず事業継続を断念するケースが多いという。

 「人手不足」の要因別では、「求人難」が58件(前年同期比114.8%増)、「人件費高騰」が47件(同95.8%増)、「従業員退職」が40件(同150.0%増)と全ての要因で急増している。

 従業員の退職阻止や新たな人材確保に賃上げは不可欠だが、大手企業と中小企業の賃上げ格差は拡大しており、今後中小企業による生産性向上、収益改善などの見直しによる安定した賃上げ原資の確保が急務となりそうだ。