バケーションレンタルと900万⼾の空き家問題-MATCH 松宮英範氏

  • 2024年6月10日

 ⽇本の空き家は900万⼾、住宅総数に占める割合は13.8%(空き家率)と4⽉末に発表されましたが、5年前の発表から51万⼾増加したというので深刻です。以前にも書きましたが、法律が改正され3階建で200㎡までの⼀⼾建てに関しては、難しい⽤途変更の⼿続きをしないで(消防設備など設置必要な項⽬はあり)、ホテルに転換できる規制緩和がありました。空いている家をお洒落にリノベしてバケーションレンタルとしてゲストをおもてなしする...もったいない⽂化として⽇本⼈には相性もいいと思います。

 一方で、単純にスペースを貸すような「イマイチ」な感じの施設も多いものです。それだとプロが運営する良質のバケーションレンタルに凌駕されてしまうので、旺盛な需要と期待に応えるべく、私は⽇夜、頭をフル回転させ素敵な施設作りを⽬指しています。

 私がプロデュースした施設をご紹介しましょう。

 河⼝湖にある1,100坪の広⼤な敷地に1⽇1組限定で宿泊できる完全貸切のラグジュアリーヴィラ。オーナーが別荘として使っていた古家を解体、新築しました(私はプロデュースと集客担当)。真正⾯に富⼠の勇姿を望み、3mの⾼い塀に囲まれた敷地内には、4⽉から10⽉まで泳げる温⽔のプライベートプール、全⾯ガラス張りのサウナ&ジャグジー、⼤型⽝も⾛り回れる300坪のドッグラン、使い放題の薪で炎を楽しめるファイヤーピットに薪ストーブ、会議やヨガも可能な多⽬的スペース、⼤⼈も⼦供も遊べるアミューズメントコーナーやカラオケなどなど...これらが全て1組だけで貸切利⽤できます。⾬でも雪でも、施設内で⼤いに楽しむことができます。

 皆さん、1泊では遊びきれない!と感想を⼝にされながら、ほぼ1泊しかされないので、毎⽇、上記の広⼤かつ多岐に渡る設備を⼤⼈数で清掃しなければなりません。レストランはなく、持ち込み⾃由でBBQなどお楽しみいただくフリースタイルですが、「BBQオールスター」「しゃぶしゃぶオールスター」といった渾⾝の食事メニューも⽤意しています。⾷材は下ごしらえしてあって、後は焼くだけ、煮るだけ、といったプリペアードスタイルでの提供ですが、その管理と準備も⼤変です。出張シェフを呼ぶプランや広⼤な敷地を利⽤した邸宅ウエディングや様々なイベント、TVやCM撮影などなど、難易度の⾼い運営スタイルで精進している努⼒も認められ、朝⽇新聞社の「⽇本の憧れホテル100」にも選出されました。

 バケーションレンタルをやるなら、ここまで頑張れ!などとは⾔いませんが、⼯夫すればするほど存在感のある施設となるのは間違いないし、マイホームをこだわって作るように個性的にしていけば良い施設になります。

 新しいスタイルで新しい刺激を得ることで、従前の経営にも好影響を与えてくれています。これまで⾒えなかった⾯が⾒えてくるのです。「楽しいこと」を選択しても、結局巡り巡って「儲かる」ことにも繋がるようです。流れる⽔は腐らないとよく⾔われますが、やはり1⼈社⻑とはいえ、こじんまり出来ることだけするのではなく、チャレンジ精神で常に流れを作り出していきたいですね。