JATA 旅行安全セミナー開催、外務省「たびレジ」への登録を要請

  • 2024年6月4日

 日本旅行業協会(JATA)は4日、「JATA旅行安全マネジメントセミナー」を開催。事務局長の池畑孝治氏は「課題はあるものの旅行需要は順調に回復しており、自然災害や有事の際の対応をしっかりと行っていかなくてはならない」と危機管理の意識向上を訴えた。ハイブリッド式で開催された本セミナーには、来場70名、WEB226名、計296名が参加した。

池畑孝治氏

 JATAでは、昨年12月より「観光産業共通プラットフォーム」の本格運用を開始。宿泊施設の基本情報を掲載するほか、自然災害発生時の被害状況や宿泊者の安否情報などを集約するなど緊急時にも機能するもの。

 同プラットフォームへの参画企業・施設は、5月28日時点で宿泊事業者が6091施設、旅行会社93社、宿泊団体・自治体・DMO等が15施設となったが、登録宿泊施設数は旅行会社と契約する施設の約8割と網羅できていない。

 また、災害時を想定した情報集約訓練では施設側の回答率が約6割に留まるなど、登録したものの活用が進んでいない課題を抱えており、今後は訓練に加え、事務局から活用方啓蒙活動を実施するなど推進を図る方針だ。

短期滞在には必ず
「たびレジ」への登録を

 本セミナーでは、外務省領事局海外邦人安全課 課長の三角崇人氏が「最近の国際情勢を踏まえた安全対策」とのテーマで講演を実施。昨年を振り返れば、8月にはハワイ・マウイ島での山火事、9月にはモロッコ中部地震、10月イスラエル・パレスチナ武装勢力間の衝突が発生。今年には、4月に台湾東部沖地震が、直近では5月にニューカレドニアで暴動が起こるなど、旅行者の安全に関わる事案が様々発生している。

 外務省では、HP上で危険地域を4段階で評価・発信を行う。例えばニューカレドニアの場合、6月4日時点でレベル2「不要不急の渡航は止めてください」となっているが、三角氏によると、現時点で引き下げの検討はなく「少なくとも(現地)国際空港が再開する前に下げることはない」とのこと。また、外務省では22年12月から音声プラットフォーム「Voicy」でも海外安全情報を発信。これまでに150もの投稿を行うなど複数媒体で日々情報を届けている。

 セミナーを通し三角氏が再三強調したのが「たびレジ」への登録。現地の最新情報を届けるほか、有事の際の素早い支援を目的に外務省が運営するものだが、同氏によると長期滞在の場合は在留届から邦人情報を把握しやすいが、短期滞在の場合「たびレジ」への登録がない限り把握が難しい。また、登録がされていても現地で繋がりにくい電話番号が登録されているケースや、メールアドレスが未登録の場合も多く、「実際に緊急時をイメージしてご登録いただきたい」と注意喚起を行った。