LAで開催された55回目のIPW 米国の観光経済の強さ実感、送客ヒントも
55回目の開催となる米国最大のトラベルトレードショー「IPW2024」がカリフォルニア州ロサンゼルスで2024年5月3日から7日にかけて開催され、約70カ国から2,000人のバイヤーとメディアを含む5,700人を超える参加者が集まり、日本からも70人以上が参加した。
実質GDPや株価の上昇など好調の米国のなかでも、人口・経済規模の大きなカリフォルニア。ロサンゼルスで12年ぶりの開催となる今回、キーマンの発言や大掛かりな会場・イベントの数々などにも米国の観光促進の勢いを感じた。
ブランドUSA
クリス・トンプソンCEOのスピーチから
2012年から12年にわたり米国の公式観光マーケティング組織であるブランドUSAをCEOとして率い、今年に退任するクリス・トンプソン氏がトップの記者会見に登壇。過去からの米国の観光産業の発展を振り返りつつ「パンデミックを乗り越えて、米国は長距離旅行者の到着数で引き続き世界をリードし、明らかに旅行熱が復活している」と述べた。
「2023年には、米国への訪問者数は約6700万人となり、消費額は前年比28%増の2130億ドルにのぼった。インドからの旅行者数は、すでに2019年の水準を超えており、オーストラリア、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、英国も2025年にはその水準を超える見込みだ」と数字上にもその強さが現れており、2027年までの目標とする訪問者数9000万人、消費額2790億円への達成に前向きな姿勢を語った。
アジアについては全般に、パンデミックからの立ち上がりが遅いと述べつつも、ブランドUSAの最近の調査のなかで「米国は最も憧れの訪問地の一つであり、ブラジル、カナダ、中国、日本、メキシコでは海外旅行候補先の一位にランクされている」と述べた。筆者は、一瞬、日本の名前が上がったのに驚いたが継続して強いハワイへの旅行意欲が反映されていると思えるものの、日米観光交流年でもある今年、今後へのよき期待に思えた。
目白押しのイベントなど
米国への旅行誘致のヒント
ここで「2025年にはワシントンDCでのワールドプライド2025(2025年5月23日から6月8日に開催される国際的なLGBTQ+のイベント)、2026年にはルート66の100周年とFIFAワールドカップの開催(米国ではアトランタ、ボストン、ダラス、ヒューストン、カンザスシティ、ロサンゼルス、マイアミ、ニューヨーク/ニュージャージーのスタジアムで試合を開催)、そして2028年にはロサンゼルスで夏季オリンピック・パラリンピックの開催など、ブランドUSAは今後2〜3年目白押しの世界的なイベントを活用していく」と述べた。
米国でのイベントは、加えて別日にUSトラベル・アソシエーションのCEO ジェフ・フリーマン氏が「2024年夏にはコパ・アメリカ 、2026年に米国建国250周年記念式典」にも触れ、全米のイベント目的地に何百万人の新たな旅行者を迎えると述べていた。
これらイベント開催地を含め、ブランドUSAが推進するロードトリップ(ROAD TRIPS USA)は「歴史的なルート66で興味深いスポットやダイナーを巡る旅」「パシフィックコーストのミュージックトレイル」「公民権の歴史をたどるトレイル」「アイコニックなスポーツスタジアムを巡る旅」など、どれも興味をそそられ、送客のヒントになると思われた。
記者会見の終わりには、現在ニューヨーク市観光会議局のCEOであるフレッド・ディクソン氏がブランドUSAの新たなCEOとして、2024年7月15日から指揮を執る旨が発表された。