JATA 第2回インバウンド受入意識調査結果、回復進むが人手不足など課題は多く
日本旅行業協会(髙橋広行会長、JATA)は3月26日、インバウンド旅行客の受入に関する国内の受入事業者の意識調査の結果をまとめた。課題などを抽出、今後の受入拡大につなげる。
調査は今回が第2回目。2月に旅行会社、輸送、観光関連事業者、自治体らを対象に行い、1094件の回答を得た。その結果から注目の観光コンテンツやインバウンド受入に関する課題、物価上昇への対応、大阪・関西万博の関心度などをまとめた。
インバウンド客の受入延べ人数は、19%が取扱なし、24%が不明。48%が10万人未満だった。
現時点でインバウンド客のを受け入れていない事業者の今後の受入計画は51%が受け入れたい意向を示し、受入予定なし35%を上回った。受入予定なしは「人手不足や人材不足」が60%に上り、これが最大の課題のようだ。
国内旅行を含む観光客数全体の回復については、35%がコロナ前の2019年の水準以上まで回復。前回調査より14%増加した。インバウンドに比べ国内旅行の回復が早いようだが、コロナ前を大きく上回る回答ではインバウンドの回復が全体を上回っている。
インバウンド客の多い時期は冬、桜や紅葉、祭りシーズンなどに集中。旅行スタイルは60%が個人と団体を受け入れ、ビジネス客のニーズも回復している。
コロナ禍を経て新しい、または注力している観光コンテンツは高付加価値旅行が35%でトップ。サステナブルツーリズムが28%で続き、前回並みの注目度を集めている。ガストロノミー、アドベンチャ―ツーリズムのほか、アニメルーリズムや日本文化体験、アクティビティも関心が高い。
インバウンド重点市場は、アジア・オセアニアでは台湾が45%で最重要市場。中国も前回の11%から25%へ改善している。欧米は46%が将来的に受入を重点化する特定の国・地域を設定していない。
インバウンド客受入の課題については、人手不足や人材不足が引き続きトップだが、前回より8%減少して56%に。2次交通の整備不足が9%増加して31%となり、国際線路線復便の遅れなど交通インフラ関係が微減する中、ライドシェアや観光型複数Maasへの関心も高まっている。受入課題の解決状況は依然として未解決が64%と改善には遠い状況のようだ。
将来的に受入を伸長させるための条件は、人手・人材不足の解消が引き続きトップ。ここでも2次交通の整備不足が数字を伸ばしている。外国語対応スタッフの雇用は改善しているが、自治体広域連、観光DX推進、オーバーツーリズム解消、観光インフラ整備など行政の施策に期待する声が増えている。
物価高の影響で19年比でコスト上昇を価格に反映させた観光事業者は全体の58%で、前回41%から大きく増加。価格繁栄の理由は仕入れコストの上昇がトップだが前回の10%減の74%に。人件費が微増となり人材確保という課題がここでも浮き彫りになった。
大阪・関西万博については、これを契機にインバウンド観光客のさらなる誘客を検討しているのは31%で前回とほぼ変わらず。関西の拠点を置くかどうかに関係ないく、万博への関心度の減少が傾向として見られる。
情報提供:トラベルニュース社