ヨーロッパレジャー需要の復活を目指して-フィンエアー日本支社長サカリ・ロム氏
ロム 2022年6月からインド支社長を務めました。中国においてCOVIDの影響が当初より長引いたこともあり、インド市場に出て打つべきだと、フィンエアーの社長と意見が一致したためです。
インドには1年半いましたが、素晴らしい国でした。この3~4年の間はコロナ禍があり、ロシア・ウクライナ戦争も始まってしまい、観光・旅行業界からみたらポジティブなことが一切なかった。にも拘らず、インドではネガティブな雰囲気が全くなく、みんな前向きだったのです。背景としてはインドという国そのものが何十年も経済成長率6~10%という右肩上がりで成長しており、観光業だけでなく、国全体がビジネスに対して前向きな姿勢であることが理由とも思えます。
インドに行ったのは約15年ぶりでしたが、昔のインドの面影がなくなっていて驚きました。以前は到着して1日以内にお腹を壊していましたが、今回は1年半の滞在中一度も体調不良には見舞われませんでした。衛生面も劇的に改善したと思います。
また、人材も素晴らしく、インド人でビジネスのトップマネージメントをしていた方々は世界的に見てもトップレベルの人ばかりでした。学歴もハーバードやスタンフォードの卒業生ばかりで、インターナショナルな国際感覚を持ち、優秀でビジネスでの結果も出していて経済的なパワーもある、そういう方々にたくさん出会いました。
ロム 嬉しかったですね。インドも去りがたかったですが、日本も大好きなので戻ってこれて嬉しいです。日本は日々生活する分には何も変わっていないと感じる一方、航空業界においては大きな変化があったと感じます。
現状は、日本発路線ではビジネス、プレエコ、エコノミーの順で売れています。今年、ビジネス需要は2019年レベルに戻るでしょうし、円安の影響があまりない富裕層の顧客もビジネスクラスを選びます。レジャー需要はまだまだで、アロットメントを活用したツアーが今年の4月から伸びるかどうかで大きく変わるとは思いますが、2019年比にはまだまだ及ばないでしょう。
エコノミークラスが満席になることはありませんが、価格は2019年比で1.5~2倍になっていることもあり、搭乗率があまり高くなくても経営的に見ると悪くはありません。どこの欧州系航空会社も同じだろうと思います。以前と比較した場合の一番の変化と言えば、欧州発の需要が大きく高まったことです。2019年比で3~4倍まで伸びています。現在の航空券代金は、日本から見たら高いが、欧州から見たらとても安い。欧州発の強い需要と今後伸びるであろう日本の需要をどうバランスを取っていくのか。イールド重視のポジションにするか、ボリューム重視とするか、そのバランスが難しいところです。
フィンエアー全体のキャパシティがかなり増えており、これ以上機材や路線を増やすのは大変だが、戦争が終わったあとに向けて新しいことを仕込んでいかないといけないと考えています。アメリカ路線も飛ばしていますが、アジア路線と比べると結果は良くない。日本国内の新路線の開拓は難しいが、この1年間で大阪でデイリー、名古屋で週4~5便、東京は成田・羽田のダブルデイリーを実現していきたいです。