課題は「地方誘客」、OTAとは各市場での送客強化地域を指定したキャンペーンも-JNTO
日本政府観光局(JNTO)は、25日メディアブリーフィングを開催した。昨年の訪日外国人数は計2500万人を突破し、2019年の約8割まで回復を見せるなかで、JNTOとしては「地方誘客」に力を入れる。
中山理映子理事は地方誘客の現状について、「回復率で見れば、訪日全体の回復に伴い地方も少しずつ増えてきている」と評価。宿泊旅行統計調査23年10月二次速報によると、昨年1月~10月地方部の国籍別延べ宿泊者数は、米国が2019年同月比で127%、シンガポール106%など、既に昨年全体通して19年を超える訪日客数を記録した一部地域では地方への誘客も進んでいる状況だ。今後は、訪日客数の割合とともに、地方部での宿泊者数の多くを占める東アジアを「いかに戻すかが、全体の底上げとして課題」(中山理事)となる。
JNTOが世界22市場を対象に昨年実施した調査によると、東アジア、東南アジア地域では、今後訪日旅行で訪問したいエリアとして「大都市(東京、大阪、京都)+その他地方エリア訪問希望」もしくは「地方エリアのみ訪問希望」と回答したのは8割以上と地方への訪問意欲は高い。
東アジア市場の今後の回復について、JNTO企画総室 調査・マーケティング統括グループマネージャーの福増伸一氏は「直行便の関係が大きい」と見ており、東京大阪を中心とした復便から今後、LCC含めた地方直行便の回復が期待される。
また、地方誘客を後押しするニュースも出てきた。米ニューヨーク・タイムズが「2024年に行くべき52カ所」として山口市を選んだほか、Booking.comは「2024年の人気旅行先」の1位に別府市を選出した。
JNTOでも2010年度から実施するアジア10市場、訪日回数2~5回程度のライトリピーターを対象にした大規模キャンペーンにおいて、23年度からは地方誘客に重点を置き事業を展開している。主には、OTAの特設ページにて市場ごとの送客強化地域の販売促進を実施。例として、エクスペディアとはシンガポール市場に対し、沖縄を強化地域として特典やPKG商品、体験型コンテンツなどの掲載を行っている。エクスペディアとはその他に、香港で瀬戸内+四国、台湾で中部、マレーシアで九州、ベトナムで北海道、フィリピンで関西+山陰を、それぞれ強化地域として同キャンペーンを行っているが、12月8日から始まり1月上旬までの速報値として、航空券、宿泊予約数はエクスペディアで実施する全市場で27,000件以上で、売上は680万USD以上。特に香港、シンガポール、台湾が好調だという。
同キャンペーンは2月末までの実施を予定しており、海外プロモーション部 東アジアグループの高橋歩マネージャーは「情勢なども見ながら、地方への送客を意識して実施していきたい」と述べた。