アスコット 22年オークウッド買収に続き更なるM&A進める考え、日本国内の施設数は30年までに倍増目指す
シンガポールのアスコットがM&Aによる成長を加速させる。同社が昨年4月に打ち出した5ヵ年計画では、アセットライト戦略による年間約8~10%の客室数の増加、28年までに手数料収入を現在の2倍の5億シンガポールドル以上にする目標を掲げていたが、16日開かれたメディア説明会でザ・アスコット・リミテッド マネージング・ディレクター日本&韓国担当のベ・シュー・キム氏は、具体的な成長戦略の一つにM&Aを挙げた。
これまでを振り返ると、04年シタディーン、17年クエスト、18年タウジア、そして22年には世界有数のサービスアパートメントプロバイダーであるオークウッドの買収を行った。
オークウッド買収の影響は大きく、19年に立ち上げたアスコットのロイヤリティプログラム「Ascott Star Rewards(ASR)」の会員数は、買収時点からこれまでで約100万人増加し、現在日本会員50万人含み全体で約400万人にのぼる。施設数も増加し、日本国内でのアスコットブランドの施設数は買収後に約2倍の現在22軒。世界では40カ国以上に940施設を運営する。その内の8割以上が、アジア太平洋地域で展開されている。
キム氏は、これまでのM&Aの方向性について、主に同社として「プレゼンスの高くない地域」での買収にフォーカスしてきたと振り返るが、今後は「更にブランド価値を高めることができる」企業の買収を進めたい考え。また、ホテルは「規模のビジネス」の側面があるとの見解を示したキム氏は、保有客室数5000~20000程の企業では、単体による人材やシステム面のカバーが難しく出口戦略を求める企業もあるのでは、とにらんでおり、そういった企業も一つのターゲットとして挙げた。
その他成長戦略として、フランチャイズ経営への進出や、既存ブランドの拡大も視野に入れており、国内では昨年11月30日に開業した「lyf銀座東京」含む2軒を展開するlyfブランドについて積極的に増やしていく方針だ。
また、アスコットジャパン代表取締役社長クリスチャン・ボーダー氏によると、アスコットが展開する海外のサービスアパートメントの宿泊客の6割が日本企業や日本人旅行者で、同社にとって日本は2番目に大きなマーケット。今後、国内でアスコットブランドの施設数を拡大することにより、認知度向上を図り海外での宿泊客増にも繋げたい考え。
具体的には、2030年までに現在の国内22軒から「45~50軒まで増やしていきたい」(ボーダー氏)。そのためにはコンバージョンでの開業も視野に入れ、エリアについても現在展開する都市圏のみならず、沖縄、箱根、白馬、軽井沢などリゾートについても可能性があるという。