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日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)会長 大畑貴彦氏

  • 2024年1月8日

 皆様、明けましておめでとうございます。新しい年を迎え、一言ご挨拶申し上げます。

 まず、各国大使閣下、観光庁様、日本旅行業協会様、全国旅行業協会様並びに旅行業界関係団体の皆様には、日頃からOTOA会員並びに当協会の活動に多大なご理解とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。

 さて、2023年5月にようやく日本政府が新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを2類相当から5類に引き下げ、3年ぶりに自由に旅行ができる環境が整いました。世界各国でも日本に先んじて国際交流が再開され、各国の海外旅行は2019年に近い水準で回復に向かっています。

 日本の旅行業界に目を向けてみると、訪日旅行においては国策や円安等が要因で好循環となり2019年以前の状況に近づいています。また国内旅行についても、観光需要喚起策「全国旅行支援」が政府主導で行われ、これもまた2019年並みに推移しています。

 一方、海外旅行と言えばそれとは逆に、人材不足や円安等が悪循環となり、緩やかな回復に留まっています。それに加えて日本発の燃油サーチャージは一旦下がったものの、現状では再度上昇しています。またロシア・ウクライナ問題や、中東情勢(ハマス・イスラエルの紛争)が海外旅行の増加を妨げているのも事実です。

 そのような中ではありますが、日本の観光政策は、ようやく双方向訪問(ツーウェイ・ツーリズム)の大切さが観光庁でも認知され始めました。海外に行くことで、その国の文化や歴史を知り相互理解を図り、かつ、アウトバウンドの活性化により国際競争力が向上することは紛れもない事実です。政府主導でインバウンドの活性化を行ったように、アウトバウンドを好循環に戻す施策を世界に先駆けて、強力に推し進めていただきたいと切に願います。何よりもイン・アウトのバランスが大事であることは周知の事実です。

 昨今、海外現地での費用が円安やその他の影響で大幅に上昇している上、ホテル等への支払いについてはグローバルスタンダード化して、先々のデポジットの要求や支払いタームが大きく変化していることを踏まえ、JATAの協力のもと、JATA会員各社に支払い早期化をお願いさせていただきました。約1年をかけ、OTOA正会員へのアンケートを数度実施し、JATA役員に現状をお伝えし、支払いの早期化とデポジットに対する柔軟な受け入れをお願いするなどした結果、旅行会社各社には仕入環境の激変に伴う支払い早期化の必要性について充分理解を示していただき、また必要な前払いについても柔軟に対応する旨、回答をいただきました。

 今後もこの流れは継続するものと捉えており、旅行会社の皆様には一層のご協力をお願い申し上げます。また、一部の部署や支店の担当者によって対応に差が出ないよう社内周知を徹底していただきますようお願い申し上げます。

 2024年は海外の戦争・紛争の終息のほか、政府・行政による経済政策、企業のビジネス環境の変化への対応力等がキーワードとなり、日本人の海外旅行需要は厳しい状況が継続するものと考えます。その状況を打破するには、何よりも皆様のご協力が必要ですので、よろしくお願い申し上げます。

 最後に、この新年のご挨拶文をご覧になった方々全員が「海外旅行の復活」を心から願っていると信じて止みません。

 どうぞ本年も当協会並びに会員各社に対するご理解とご協力をお願いするとともに、皆様との「協働」を通じ、2024年を飛躍の年にしたいと思います。

 皆様方の益々のご繁栄とご多幸を祈念いたし、年頭のご挨拶とさせていただきます。