訪日旅行消費額過去最高を記録、旅行者数も19年水準迫る-髙橋長官会見
観光庁の髙橋長官は10月18日に会見を開いた。足元では、9月の訪日外国人数は218万4300人(対19年同月比96.1%)を記録し、コロナ前の水準に迫った。韓国、台湾、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナム、豪州、米国、カナダ、メキシコ、ドイツ、イタリア、スペイン、北欧地域、中東地域の15市場では9月として過去最高を記録、メキシコにおいては単月過去最高を更新した。
月 | 訪日外国人数 | 出国日本人数 | ||||
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2019年 | 2023年 | 対19年 | 2019年 | 2023年 | 対19年 | |
1月 | 2,689,339 | 1,497,472 | 55.7% | 1,452,157 | 443,105 | 30.5% |
2月 | 2,604,322 | 1,475,455 | 56.7% | 1,534,792 | 537,705 | 35.0% |
3月 | 2,760,136 | 1,817,616 | 65.9% | 1,929,915 | 694,292 | 36.0% |
4月 | 2,926,685 | 1,949,236 | 66.6% | 1,666,546 | 560,183 | 33.6% |
5月 | 2,773,091 | 1,899,176 | 68.5% | 1,437,929 | 675,603 | 47.0% |
6月 | 2,880,041 | 2,073,441 | 72.0% | 1,520,993 | 703,259 | 46.2% |
7月 | 2,991,189 | 2,320,694 | 77.6% | 1,659,166 | 891,614 | 53.7% |
8月 | 2,520,134 | 2,156,900 | 85.6% | 2,109,568 | 1,201,247 | 56.9% |
9月 | 2,272,883 | 2,184,300 | 96.1% | 1,751,477 | 1,004,700 | 57.4% |
昨年10月11日にコロナ水際対策を緩和し、個人旅行が解禁されて約1年が経過した中、訪日需要の回復に伴い観光庁は今後も「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客」に取り組む。
ALPS処理水の影響は「限定的」
9月の中国からの訪日者数は32万5600人を記録し、19年同月比で約40%となり、今年初めからは回復傾向を見せているものの他国に比べ遅れを取っている状況に変わりはない。
ALPS処理水放出の影響が懸念されるなか迎えた中秋節・国慶節の大型連休。JNTOが10月13日行った中国現地旅行会社への聞き取り調査によると、一程度のキャンセルは見受けられたものの、ハイエンドのツアーやインセンティブ旅行は予定通り催行され、また個人旅行をメインとする旅行会社からは変わらず安定した予約を維持していたという声も多く、現時点での海洋放出の影響について、髙橋長官は「限定的」と述べた。観光庁としては「引き続き中国からの旅行者の動向、実績を注視しつつ、訪日プロモーションをしっかりと進めていきたい」とした。
訪日外国人消費額が過去最高を記録
年5兆円も視野に
観光庁が発表した7月~9月期の訪日外国人消費動向調査一次速報によると、同期の旅行消費額は1兆3904億円を記録。四半期ベースではコロナ前の水準を上回り過去最高となった。
費用別の構成比では、宿泊費が最も多く34.2%(19年同期:29.9%)、次いで買物代26.1%(19年同期:33.2%)、飲食費22.9%(19年同期:22.0%)となった。宿泊費の増加には1人あたりの平均宿泊日数の増加が、買物代の減少は1人あたりの買物代が最も大きい中国からの訪日者数の回復の遅れが要因と見られる。
また、7月~9月期の訪日外国人1人あたりの旅行消費額は21万810円。今年3月に閣議決定された観光立国推進基本計画での、1人あたりの旅行消費額目標20万円を超えた。髙橋長官は「四半期では超えたものの、年間通して判断していきたい」としたものの、1月~9月期の訪日外国人旅行消費額は累計3兆6326億円を数え、「年5兆円の政府目標も視野に入る」と述べ、「地方を中心に、体験型の消費を高めて稼げる産業にしていく必要がある」と続けた。