ハワイ州議員団来日、支援への感謝及び日本市場に対し「西マウイ以外の地域への渡航歓迎」

  • 2023年9月5日

 ハワイ州観光局(HTJ)は9月5日、現在来日中のハワイ州議員団のメディア向けインタビューを実施。日本市場に対し「東マウイ及び、その他の島々は安全でウェルカム」とのメッセージを伝えた。州全体の観光収入の15%を占めるマウイ島西部にとって今回の災害は大打撃。ハワイ州議会上院議員副議長のミシェル・キダニ氏は「マウイの人々は全てのものを失った。仕事まで失うわけにはいかない」と訴える。ハワイ・ツーリズム・オーソリティ(HTA)最⾼管理責任者のダニエル・ナーホオピイ氏は「マウイ西部以外の地域に訪れていただくことが、間接的にマウイへのサポートにつながる」と語った。

(左から)ハワイ・ツーリズム・オーソリティ 最高管理責任者 ダニエル・ナーホオビイ氏、ハワイ州議会 下院議員 ダニエル・ホルト氏、ハワイ州議会 上院議員 副議長 ミシェル・キダニ氏、ハワイ州産業経済開発観光局 事業開発・支援部門管理官 デニス・リン氏、ハワイ州観光局 日本支局 局長 ミツエ・ヴァーレイ氏

 HTJによると、今回の山火事による行方不明者は385名、死亡者は115名(9月1日時点)。HTAとハワイ州内外のコミュニティは、犠牲者を追悼するために祈りを捧げる「キプニ・アロハ・ノ・マウイ(Kīpuni Aloha no Maui)」をハワイ時間9⽉1⽇に執り⾏った。日本では、JALやHIS、日本旅行業協会(JATA)らのマウイ島に対する寄付等、支援の動きが広がっている。HTJでも8月17日から12月31日までの義援金受付を行っており、8月31日時点で5222万2054円が集まった。支援に対し、ハワイ州産業経済開発観光局 事業開発・⽀援部⾨管理官のデニス・リン氏は「マウイ島の火事に対する日本の皆様からの多大なサポート、及びご心配いただいたことに感謝を申し上げる」と述べた。

 ハワイ州全体に目を向けると、7月のハワイへの全渡航者数は19年同月比93.7%、932,713名を数えた一方、同月の日本人渡航者数は52,885名、19年同月比39.3%と回復が遅れている。日本からハワイへの直行便座席供給量も、10月以降、ANAのエアバスA380号機3号機投入やデルタ航空のホノルル線デイリー運航、JALのホノルル線増便など、増加傾向であるものの以前の65%にも届かない状況だ。

23年 日本人旅行者のハワイ渡航者数(対19年比)
23年19年対19年比
1月32,305120,41826.8%
2月26,650120,65322.1%
3月40,039133,85829.9%
4月34,358119,48728.8%
5月34,141113,22630.2%
6月46,753126,59236.9%
7月52,885134,58739.3%

出所:ハワイ州観光局(HTJ)

 回復が遅れる日本市場については今後プレゼンス低下が懸念されるものの、「2019年時点では、日本市場はハワイで20%ほどのシェアを占め、観光収入は25億ドルを数えた。両国は文化歴史的な絆も深く、常に重要なパートナー。今後も、様々なプロモーションやコラボレーションをしていきたい」(ナーホオピイ氏)。

ミツエ・ヴァーレイ氏

 HTJとしても、まずは直行便があるオアフ島とハワイ島へのプロモーションを集中することで、日本人観光客の取り込みを図る。同局はハワイ渡航への動機付けとして、9月4日にロマンスマーケットに焦点を当てたプロジェクトを開始したばかり。局長のミツエ・ヴァーレイ氏は「最重要の国際マーケットである日本市場をどう戻していくか。それには旅行業界と一丸となったコラボレーションが必要」と述べており、日本旅行業協会(JATA)らとの協議のなかで、今後の具体的なプロモーション施策を決定していくという。

 また、ヴァーレイ氏はハワイの「安全」制に触れた。今回の災害時でも州政府や旅行業界と連携の上、マウイ島の旅行者数の把握や、島外への移動手段の確保など迅速な対応を行い、ジャパン・ハワイ・トラベル・アソシエーションや日本領事館などを通して情報発信を行ってきた。同氏は「旅行業界として、海外でハワイほどインフラが整っているところはない。安全な旅ができる、誰でも行けるデスティネーションであるということを、もう一度しっかりと掘り起こさないといけない」と語った。

 今回来日したハワイ州議員団は、インタビューに応じた議員らを含め計13名。8月30日から9月7日にかけて、ハワイ州の姉妹都市である広島県知事への表敬訪問や、東京インターナショナル・ギフト・ショーへの参加、支援などのほか、各エアライン、JATAへの訪問が予定されている。