元KIE USA代表の第二のキャリア。足摺海洋館「SATOUMI」、地域愛に根差した施設が取り組む観光促進
新野 高知の豊かな自然環境をそのまま再現し、この地域の水生生物を、それが生きる環境と共に見てもらうことをコンセプトとする水族館です。最近では照明や音響を工夫して魅せる展示を目指す水族館も多いのですが、「足摺海洋館SATOUMI」はそうした傾向とは一線を画しています。
ですからこの地域周辺の水生生物を中心に集めています。飼育している魚や水生生物のうち9割は、職員が周辺の海で集めてきたもの。潜って収集したり釣って集めたり、定置網に入った魚を譲り受けたりしています。収集した魚たちは傷ついている場合もあるので、薬を与えるなどバックヤードで養生し、傷が癒えた後に展示水槽に移しています。
浜田 やはり近場からの来館者が多いですね。高知県内が4割、愛媛県からが2割、香川県からが1割くらい。徳島を含めた四国4県で全体の7割以上を占めます。残りは関西圏からの来館者が中心ですね。
インバウンドはまだまだ少ないのが現状です。それでも5月からは台湾のタイガーエアがチャーター便を週2便運航しているので、台湾からのFIT客がちらほらいらっしゃいます。
来館者を増やすには、やはり東京を中心とする関東圏からのお客様を増やす必要がありますが、ネックとなるのはアクセスです。高知空港から車で2時間半かかりますから、ハンディがあるのは間違いありません。旅行会社のツアーで訪れる旅行者もいますが、一般的なパターンは道後温泉から高知への移動の途上で「足摺海洋館SATOUMI」に立ち寄り、高知市で宿泊して帰るという内容です。水族館滞在は50分ほどで次へ移動していきます。これだと、この水族館の本当の良さを理解してもらうのは難しいですね。
水族館のある幡多(はた)エリアは四万十市、宿毛市、土佐清水市、黒潮町、大月町、三原村の6つの市町村で構成されていますが、この幡多エリアで3泊ほど滞在してもらえるようにしなければなりません。新鮮な魚や野菜があり食事は美味しく、美しい自然も豊かです。可能性はあると思います。当面の課題としてはエリア内にホテルなどの宿泊施設が質量ともに不足していることです。
浜田 食の魅力は大きいと思います。もっと土佐の美味しい魚介類を堪能できる場所を増やしたい。道の駅はできましたが、それ以外に飲食店が少なく、どうしても選択肢が限られます。3泊4泊してもらうのに、飲食店が数軒では食体験のオプションが少なすぎます。