観光庁、24年度予算は113%増の670億円要求-人材不足対策事業は今年度予算から2.6倍
観光庁は2024年度の予算概算要求で、今年度予算比113%増の670億4700万円を要求した。要求額の内、一般会計は22年度第2次補正予算で措置した国庫債務負担行為の歳出化予算120億円を含み、119.7%増の241億1200万円。東日本大震災からの復興枠は21.4%増の9億3500万円。国際観光旅客税(出国税)を財源とする「国際観光旅客税を活用したより高次元な観光施策の展開」が112.8%増の420億円となった。
一般財源による事業では「持続可能な観光地域づくり」「地方を中心としたインバウンド誘客」「国内交流拡大」の3点に取り組む。
持続可能な観光地域づくりでは計8事業を挙げる中、急務とされる人材不足対策事業は今年度1.5億円から4億円に大幅増額。各地方での人材マッチングイベントの開催や、スマートチェックイン機、PMS等の施設整備補助、特定技能試験の受験者増加を目的としたジョブフェアなど、主に宿泊業界の人手不足に対する事業が目立った。
その他、18億9600万円を計上する「地域における受入環境整備促進事業」では、パークアンドライド促進のための駐車場整備や、多言語翻訳機器、キャッシュレス決済端末の整備など、各地域での受入環境の整備を促進する一方で、オーバーツーリズムの未然防止を推進する。
また、7900万円を計上する「通訳ガイド制度の充実・強化」では、全国の通訳案内士を検索し、就業依頼できるデータベース運営や研修を実施し、多様な訪日旅行者のニーズに対応できる通訳ガイドの確保を進める。
地方を中心としたインバウンド誘客では、「戦略的な訪日プロモーションの実施」に55億1800万円を計上、25年に開催を控える大阪・関西万博を契機として、「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」をキーワードに、地域ごとのニーズを踏まえたプロモーションに取り組む。
訪日に比べアウトバウンドの回復が遅れる中、イン・アウト両輪での双方向交流拡大の観点から「各国政府観光局等との連携促進事業」に250%増の7000万円を計上。各国との共同プロモーションを進めるほか、中長期的な双方向交流の活性化につながる海外教育旅行促進に取り組む。
観光庁によると、一般会計と同様今年度予算から倍額以上をつけた「国際観光旅客税を活用した観光施策」の要求額は、IATA等の予測などをもとに算出されたもの。具体的な施策は未定であるものの、「負担者の納得が得られるもの」「先進性、費用対効果が高いもの」「地方創生をはじめとする重要政策課題に合致するもの」を基本方針として、新規性、緊急性の高い施策に充当していくという。