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サウジアラビアが観光客誘致へ積極、直行便就航向けて交渉も

  • 2023年6月11日

 サウジアラビアが観光客誘致に積極的な動きを見せている。サウジアラビア政府観光局(STA)は5月25日、業界向けのセミナーイベント「サウジアラビア・ロードショー」を開催。イベントに合わせサウジアラビア旅行業界関係者代表団が来日し、業界関係者ら総勢100名以上が参加した。

現地サプライヤーとの商談会も実施

 観光客誘致に力を入れる背景には2017年7月に発表された「ビジョン2030」がある。これは脱石油依存を図る国としての開発計画で、観光業は柱の一つとして、2030年までに年間観光客数1億人や観光業のGDP貢献向上(現在5%から10%へ)、観光業での100万人の雇用創出などの目標が掲げられている。今後10年間での観光分野への投資額は約138兆4780億円を予定しており、ホテルの増設や空港開発なども進めていく方針だ。

 サウジアラビアは雄大な自然や遺跡、文化、歴史などが魅力的なデスティネーション。6つのユネスコ世界遺産、10000以上の遺跡を有している。セミナーでは主要都市である「リヤド」「ジェッダ」「アルウラ」を中心にプレゼンテーションが行われ、中でもジェッダの紅海では只今「紅海プロジェクト」なるリゾート計画が進行しており、今年中の開業を予定している「紅海国際空港」の建設や、多数のホテル建設に世界有数のホテルブランドが参入している。

 また、セミナーでは「治安の良さ」についても言及、世界各国様々なデータを提供する「NUMBEO」が発表した「2023年安全な国ランキング(Safety Index by Country 2023)」ではサウジアラビアが12位(日本は8位)となった。

日本市場への期待は?

 日本市場に対しては今年に32000人の日本人観光客誘致を目標に、直行便就航のため航空会社にも交渉するなど精力的だ。

 セミナー後に実施されたメディアインタビューで日本市場の重要性について問われたサウジアラビア政府観光局(STA)APAC市場担当プレジデントのアルハサン・アルダッバグ氏は「日本からの海外旅行客数の多さや現地でもしっかりとお金を落としていただけるという点が日本市場の重要度の要因。また、アジアにおける日本の影響力の大きさもポイントで、日本からの旅行客が増えれば他のアジア地域の国々からの追随も期待できるとともに、アラビアスタイルのおもてなしは日本の方々にも通ずるところがあり、親しみを感じていただけるはず。」と述べ「サウジアラビアの持っている文化や多様性、親切で優しい人達のおもてなしが一番の集客に繋がるはずだ。」と語った。

 交渉中の直行便に関しては「詳細は話せない」とした上で、「両国を代表する都市を結ぶというのが当然の考え方」で、サウジアラビア側については「キング・アブドゥルアズィーズ国際空港(JED)」もしくは「キング・ハーリド国際空港(RUH)」の可能性が高い、とした。

APAC市場担当プレジデント アルハサン・アルダッバグ氏

 セミナー内ではアルハサン・アルダッバグ氏やSTA日本支局長小早川 薫氏ら4名が登壇し、事前に集められた旅行時の疑問などに答えるパネルディスカッションも開催された。

(左から)日本支局長の小早川氏、アルダッバグ氏

 冒頭、「夜の時間帯に街を出歩いて問題ないか?」という安全性に関する質問には「ジェッダ、リヤド、メッカのような大都市は、繁華街も多く旅行者が出歩いても安全」と回答した上で、交通インフラも充実しており旅行がしやすい国とアピール。

 続けて、「現地では女性はアバヤ(伝統衣装)を着用すべきか?」という質問に対しては、「可愛いデザインのものからゴージャスなものまで様々な種類があるので、是非アバヤを楽しんでいただきたいが着用は義務ではない。ただし、モスクや聖地メディナを訪れる際は着用していただければ」と答えた。

 また「現地ではアルコールは合法か?」という質問には「アルコールは禁止されているが、是非ともサウジアラビアへアルコールを抜きに来ていただきたい」と会場の笑いを誘いつつ「豊富な文化や歴史、エンターテインメントなどを楽しんでいただければ」と続けた。