レイルヨーロッパのアジアパシフィック地区GMが来日、日本市場の取り込み強化
ドイツ鉄道(DB)をはじめ欧州各国の鉄道チケットやユーレイルパスなどの鉄道パスを提供している欧州最大の鉄道チケット販売会社のレイルヨーロッパでアジアパシフィックを管轄するリチャード・レオナード氏がこのほど来日し、販売代理店などを招いたディナーイベントを開催した。
欧州で広がる鉄道旅行需要
イベント内のプレゼンでレオナード氏は、欧州で広がりを見せる鉄道旅行の現状について触れた。直近のヨーロッパでの鉄道旅行の利用者数は2019年比で120%と伸びを見せており、要因としてレオナード氏は欧州でのCO2排出量削減を目的とした対応が大きいと見ている。実際に今年の5月フランスでは鉄道で2時間30分以内の代替手段がある航空路線を運航禁止する法律が施行され、欧州連合では今後2年間で鉄道インフラの更なる強化が計画されているという。フランスでの短距離空港路線の運航禁止についてレオナード氏は「他の欧州各国も今後同様の動きを見せる可能性がある」と見ている。
日本市場について
レイルヨーロッパにとって日本市場は初めて欧州外で市場拡大を図った地域であり、コロナ前レイルヨーロッパでの販売実績では長らくトップ5をキープしていた。レオナード氏は日本市場を「成熟した市場」と表現しており、欧州方面に旅慣れた観光客が多く、リピーターが鉄道を利用するケースが多かったという。
レオナード氏は航空券代金の高騰や円安の問題が日本市場の回復に悪影響を及ぼすとしつつも、遅くとも2024年には2019年並みに回復すると予想しており、今後については欧州方面の旅行者の中心となるであろう「ミレニアル世代」への訴求を課題と挙げており、日本のパートナー企業との取り組みを強化する考えだ。
イベントに同席した、スイス連邦鉄道やスイス政府観光局の子会社で、外国人旅行者向けの交通パスを企画するスイストラベルシステムのアンドレアス・ネフ氏も日本市場の重要性について「スイスにとって日本人は初めて来たアジア人で両国間には長い歴史があり、リピーターの方も多い。」と語る一方で、若年層への訴求を課題しており今後観光局と協力し、取り込みを図りたいという。
スイストラベルシステムが企画する「スイストラベルパス」はスイス内の鉄道、バス、船など全ての公共交通機関を利用できるもので、レイルヨーロッパが大手の販売元となっている。なお、現在レイルヨーロッパ日本地区のGSAはワールドコンパス、トラベルプラザインターナショナル、欧州エキスプレスの3社が務めている。