ドイツ観光局、23年は世界遺産に注力、6月からキャンペーン-TikTok活用も

  • 2023年6月1日

ドイツ観光局アジア地区統括局長の西山晃氏  ドイツ観光局は5月25日、都内でプレス発表会を開催した。発表会ではドイツ観光局アジア地区統括局長の西山晃氏が登壇。2023年4月末に日本政府が入国制限を解除し、5月8日に新型コロナが5類になったことについて喜びを示すとともに「本格的な海外旅行回復に取り組まなければならない」と意欲を示した。

 同氏によれば、2022年から外国人の延べ宿泊数は徐々に回復。22年は19年比24.3%減の6808万8010泊でとなっており、2023年1月・2月は17%減まで回復した。最も多い国はオランダで、次いでスイス、米国となっている。アジア太平洋地域については2022年は53%減の470万泊で、日本は72%減の30万泊だった。

 日本の回復はロシアのウクライナ侵攻や円安、航空運賃の高騰などの影響で他国よりも遅いが、宿泊数ベースでは1、2月は19年の5割強まで回復。西山氏は23年全体で5割程度までの回復を見込んでいることを説明し「1、2月の結果を見ると災害など何事もなければおそらく年末にはこれよりいい結果になるのでは」と期待を示した。また、同氏は今夏の日本/ドイツ間の航空便について、19年比3割減の週43便まで回復したことを説明。座席供給量は機材変更やロシアのウクライナ侵攻の影響などもあり、便数ほどの回復はしていないとしながらも、「東京/フランクフルト間の便数は100%まで回復した。頻繁に飛行機が飛ぶようになったことは喜ばしいこと」と語った。

 日本市場に対しては高所得・高学歴で文化や歴史に興味の高い人がドイツを好むことから、旅行費用の高騰が落ち着くまでは富裕層や高所得層など、時間と金に余裕がある人をターゲットに引き続きアプローチを続けていく方針。一方で、1月にZ世代を対象に実施した旅行先調査でドイツ女性で6位、男性で9位でともにトップ10に入ったことを説明し、「非常に将来を明るくする結果。若手が関心を持つことで、今すぐに行かなくても状況がよくなれば戻ってくる可能性が高い」と期待を述べた。

 また、同氏は観光庁と日本旅行業協会(JATA)が「今こそ海外!宣言」を出しキャンペーンを実施していることについても言及。「GOTOトラベルが6月でほぼ終了するので、国内観光への助成が終わった後に少しは海外に行こう、という機運が高まることを期待したい」と話した。

 ドイツは毎年イヤーテーマを発表しているが、今年は昨年と同じサステナブルな観光施設やサービスを紹介する「FEEL GOOD(フィールグッド)」と、自然を楽しむ「Embrace German Nature(エンブレイス・ジャーマン・ネイチャー)」を継続。さらに新たに「世界遺産」をテーマに、ドイツ国内に51ある世界遺産を訴求する。

 日本市場では世界遺産が最重要テーマと位置づけ、プロモーションを強化。6月から4Travelとクロスメディアキャンペーンを実施し、ゲーテ街道などを取り上げ、プレスツアーもおこなうほか、TwitterやLINEで訴求していく。このほか、9月から10月にはFEEL GOODのキャンペーンを、11月にはクリスマスをテーマにクロスメディアキャンペーンを計画中で、TikTokでの広告キャンペーンも展開する。このほか、サステイナブルツーリズムに対する取り組みについては、メディアを対象にした記事コンテストも開催する。

ドイツ観光局広報マネージャーの大畑悟氏  セミナーではドイツ観光局広報マネージャーの大畑悟氏が、毎回恒例のドイツ観光局が活用するSNSについて報告。フォロワーが19.8万人まで増加したという公式ツイッターでは、平均インプレッションは1回平均6万で、いいねは平均980、リツイートは平均260と昨年よりも増加した。フォロワーの63%は女性で「圧倒的に10代、20代が見ている」という。

 大畑氏は「Twitter戦略は将来性。ドイツの観光情報を若い世代に洪水のように与えていつかドイツに行ってほしいという願いを込めている」と語った。地方観光局や企業とコラボしたキャンペーンも実施しているといい、「ストーリー性に満ちた発信を強化していく。旅行が正常化したので、旅の予約につながるコンテンツ配信も少しずつ増やしていきたい」考えだ。