西豪州、日本市場の早期回復に自信-新観光戦略で国立公園内の宿泊施設など充実へ
西オーストラリア州政府観光局(TWA)マネージングディレクターのキャロリン・ターンブル氏がこのほど本誌の取材に応じ、日本市場への期待に加えて近く発表予定の観光戦略についても説明した。
日本市場については、オーストラリアの他の州では続々と既存路線の運航が再開され、さらに羽田/ケアンズの新路線が就航間近となるなど着々とコロナ禍前の環境に戻りつつあるが、西オーストラリア州では2019年9月に就航した直後にコロナ禍に見舞われた全日空(NH)の成田/パース線が現時点でも運休状態。今年10月には直行便が待望の復活となる予定だが、それでもコロナ前のデイリー運航に対して週3便での再開となる。
これについてターンブル氏は「直行便再開を心待ちにしている」としたうえで、「直行便の早期のデイリー化に自信を持っている」と明言。需要回復は現時点で緒に就いたばかりであるものの「コロナ前の需要は非常に強く、海外市場として8番目の規模。しかもイールドが高く極めて重要な位置付けとなっていた」といい、これからのリカバリー期においても「搭乗率は素早く回復するはず」と期待を語った。
そして、TWAとしても素早い復便を実現するための施策を計画。TWAでは、昨年にグローバルで新ブランド「Walking on a Dream」を発表したところ。これは国内外で競合が激しくなるなかでユニークなデスティネーションとしての認知度を高めるため、「ターゲット層により明確に焦点を当て、よりはっきりと訴求したい体験を打ち出す」ことをめざしたもの。発表済みのブランドムービーでも別世界のような驚きに満ちた憧れの旅行先としてアピールしている。
そして今後日本でも予算を投じてこの新ブランドキャンペーンを打ち出す計画で、ターンブル氏は「NH便の販売開始タイミングも見ながら決めていきたい」と語った。
ターンブル氏は日本市場について、「新しいデスティネーションの開拓や非主流の観光地の訪問にも前向き。西オーストラリアはオーストラリア最大の州でありながら住民の数は最小規模。新しいものを求める日本人旅行者にはうってつけ」と期待。自然や動植物、安心安全、美食とハイクオリティなワインなどで旅行者を獲得していく考えを示した。
そして日本市場向けの予算については、「現時点で言えることは、西オーストラリア州にとって現在の予算規模が過去最大であり新年度も大きく見直す予定はないということ」とし、「最重要市場の一つである日本を含めて海外の重点市場で積極的に活動するのに十分な額を確保できる見通し」だと説明した。
観光戦略は、今年から2033年までを対象期間とするもので、新ブランドと合わせて西オーストラリア州の競争力向上を目指す。力を入れるのはインフラと地方の宿泊施設拡充で、「特に国立公園内のプレミアムアコモデーションは戦略の中核にある」とのこと。例えば日本市場でも人気のある世界遺産ニンガルーリーフも宿泊施設の選択肢が限られていることが課題だったが、新観光戦略のもとで関係省庁とも連携して整備が進むことになる。
戦略は今年後半に開始予定だが宿泊施設の充実はすでに別途1770万豪ドルを投じた取り組みが進められており、「3年から5年のうちに国立公園内に8軒のエコフレンドリーなウルトララグジュアリーリゾートが誕生する見込み」だ。
このほか戦略では、クルーズやアクセシブルツーリズム、MICEの強化も盛り込む。クルーズについては、2023年は過去最高の1年となる見込みであるなど成長著しい分野という。