業界ニュースを振り返る ー GoTo事務局運営会社で続く不正…
先週の記事では、近畿日本ツーリストの不正問題を取り扱いました。ああいう記事は書いてる方としても正直あまり気分が良くないというか、なんで観光産業メディアで一社のこととはいえ身内を批判せねばならんのかと思ってしまうわけですが、またしても批判せざるを得ないようなニュースが飛び込んで来ました。日本旅行が全国旅行支援事業の愛知県事務局運営にて不正を行っていたという記事です。
内容としては愛知県事務局運営において不正があったということで、金額としては530万円と正直規模としては比較的小さいものです。しかし、これは非常に根深い問題でしょう。
まず、この不正が果たして愛知県のみで行われたのか、という点は誰しもが疑問に思うところです。なんせ今回の不正は欠員補充として勤務しない社員の名前を記載していたということですから、普通に考えれば故意の不正でしょう。欠員の人間を消し忘れたというならばミスかもしれませんが。
こういったことが起こる理由が上からの指示であれば、当然他の都道府県でも同様のことをしていると疑われて然るべきです。単純に社内のコンプライアンス意識が低いだけなのであれば他ではしていない可能性もありますが、それにしても不正が行われる下地が社内にあるということですから、形が違っても不正が行われているリスクが高いであろうという予想は自然なものではないでしょうか。
そして、今回不正が発覚した日本旅行も、前回取り上げた近畿日本ツーリストの親会社KNTもツーリズム産業共同提案体の共同提案体に入っています。皆さん、ツーリズム産業共同提案体ってなんだったか覚えていますか?GoToトラベル事務局の運営委託先です。ツーリズム産業共同提案体はJATAやANTA、公益社団法人日本観光振興協会、日本旅行、KNTの他、JTBや東武トップツアーズが共同提案体となっています。不正を行った2社はもちろん、まだ記憶に新しいJATA会長を当時務めていた菊間氏が代表取締役会長を勤めていたワールド航空サービスの雇用調整助成金不正受給問題に、最近では熊本県でも不正受給があり事務局のJTBが約3000万円を返納したということもありました。
こんなことを言いたくはないですが、それぞれの件がコンプライアンス意識が原因なのか、制度理解への能力が欠けていたのかにしても、これまでの様々なニュースを見ればGoTo事務局に税金を預かって運営する能力があったのかは疑問です。
そんな中、観光庁はJATAに総点検を依頼したそうですが、JATAの運営として名を連ねている一部の企業が不正を行ったわけで、不正者本人に不正があったか確認させていては果たしてしっかりと不正が洗い出せるものか。本来であれば公正な外部組織に調査を依頼するのが筋というものです。現実問題としては難しいのでしょうが…。