サイパン、直行便の維持・供給増へ全力、新知事来日し需要喚起に意欲

  • 2023年4月10日

 北マリアナ諸島自治連邦区で今年1月に新知事に就任したばかりのアーノルド・パラシオス氏が来日し、4月5日に東京でリアルとオンラインのハイブリッド形式でのセミナーを開催するなど日本の政府や旅行業界との関係強化に取り組んだ。

 セミナー冒頭の挨拶と終了後のインタビューでパラシオス氏は、日本と北マリアナ諸島の関係の深さについて。「両国は1900年代初めから長い歴史を共有してきた。そして今でも共通の言葉、食べ物、習慣、価値観を持つ」と説明。そして現在は文化的、経済的な関係だけでなく地政学的にも重要なパートナーであるとし「絆を強めて双方にとってより良い未来を築きたい」と語った。

 日本/サイパン間における航空座席確保の問題はコロナ禍前からのもので、2018年にはデルタ航空が撤退。2019年にスカイマーク(BC)が就航したがまもなくコロナ禍であえなく運休となった。これに対して、昨年9月1日からは自治連邦区からの助成を受けてユナイテッド航空(UA)が成田から運航を開始している

 パラシオス氏は「まだ3便だがゼロからのスタート」であるとし、今後も「最低限として週3便」の姿勢で路線の維持とキャパシティの拡大に取り組んでいく方針を強調。現時点では9月1日の現地発便までしか確定していないものの、回復で先行する韓国市場も当初は1年近く需要が伸び悩む状態が続いていたところから現在はほとんど満席状態となり、通年でもコロナ前の80%の座席数に戻せる状況であることから、日本市場も後に続くと期待しているという。

 また、UA以外の可能性も模索。今回の来日でもBCを訪問しており、マリアナ政府観光局(MVA)理事会会長のグロリア・キャバナ氏もコロナ前には「事前の期待を超えるロードファクターだったと聞いている」とし「スカイマークには特別な思いがあり、この思いは双方向のものだと信じている」と将来的な復便に期待を示した。

 このほか、一行は国土交通省や日本旅行業協会(JATA)のほか、防衛省や経済産業省も訪問。浜田靖一防衛相とは地政学的状況について協議し、「観光でも中国市場への依存からの脱却の必要性などについて理解してもらえた」という。

旅行者体験に注力、充実インセンティブも継続

アーノルド・パラシオス氏(右)とグロリア・キャバナ氏

 観光プロモーションについてパラシオス氏は、旅行会社などステークホルダーと協力して価値のある体験を提供する基本に立ち返る考えを説明。「ハワイや東南アジアのデスティネーションのような予算やリソースはない」としつつ、一時期は日本から50万人近い旅行者を迎えていたことに触れ「当時我々は何をしていたのか、何を誤ったのか」を検証して取り組んでいきたい考えを示した。

 またキャバナ氏も、「皆様のお力添えのもと、日本市場が成長していくことを確信している。MVAにできることがあれば何でも日本事務所に言っていただき、双方に有効で効果的な方法を共に見つけていきたい」と語った。

 なお、日本市場では直行便の再開後、「マリアナケーション マリアナ休み、とろう。」のタグラインのもとUA便の販売促進に力を注いでおり、1名送客あたり1万円のインセンティブ設定、認定パッケージツアーの3万円割引、旅行者1人あたり50ドルのクーポン配布(新婚カップルは2名で200ドル)、ゴルフ1ラウンドまたはダイビング2ダイブの無料提供など各種の特典を用意。これらの特典は一部内容を見直しつつも7月以降も延長することが決まっている。