VAの羽田/ケアンズ線が販売開始、6月就航へ関係者が意欲-特別運賃も

  • 2023年2月28日

 ヴァージン・オーストラリア(VA)とクイーンズランド州政府観光局(TEQ)は2月28日、東京の駐日オーストラリア大使館で記者会見を開催し、6月28日に就航を予定する史上初の羽田/ケアンズ線について航空券の販売開始を発表した。就航記念として燃油込みで往復8万800円の特別運賃も設定している。

 会見の冒頭で挨拶に立ったオーストラリア政府観光局(TA)日本局長のデレック・ベインズ氏は、「日豪間の航空路線の発展における大きな節目であり、競争が大幅に激化することを意味し、旅行者にとっても業界にとっても利益をもたらす」と期待。

TA日本局長のデレック・ベインズ氏

 そして、コロナ禍からのリカバリーが進むなかで日豪間の交流人口も双方向で100万人を超えていた2019年の水準に戻ることを確信しており、さらなる成長のポテンシャルも大きいと強調。TAとしても関係機関、企業とともに需要喚起に力を入れていくと語った。

 VAからは、昨年12月に続いてベロシティ・フリークエント・フライヤーのCEOを務め今回の日本就航プロジェクトを担当しているニック・ローラック氏が登壇。「クイーンズランド州を拠点とするオーストラリアの航空会社として、こうして皆様とここにいられるのが大変嬉しい」と喜びを語った。

ベロシティ・フリークエント・フライヤーCEOのニック・ローラック氏

 ローラック氏は、VA便の強みについて日本語を話すキャビンアテンダントや受賞歴のあるサービス、新たに導入し羽田線が初投入となるB737-8、全日空(NH)などを列挙。機材についてはビジネスクラスが8席、足元の広いエコノミーXが30席、エコノミーが138席。

 サービスでは、座席指定などは無料で提供する一方、機内食はビジネスクラス以外では必要な場合のみ購入するスタイルを取るなど、FSCとLCCの長所を併せ持つハイブリッド航空会社として様々なニーズにフレキシブルに対応していく考え。特別運賃は特定日の利用を対象に、いずれも税込みでケアンズが8万800円、以遠のブリスベン、メルボルン、シドニーは10万800円とし、3月14日まで販売する。

 会見ではこのほか、ケアンズ観光局(TTNQ)CEOのマーク・オルセン氏と同セールス&マーケティングマネージャー・アジアの坂本統氏も登壇。コロナ前の日本人渡航者数であった11万人超の早い段階での回復を期待するとともに、ケアンズと周辺地域で2500超のアクティビティが体験可能であることや「1年中夏、1時間の時差、1番近いオーストラリアの“3つの1”」がケアンズの武器であること、ケアンズ空港国際線ターミナルで約50億円を投じる改装工事が始まること、サステナビリティの取り組みが進んでいることなどを紹介した。

TTNQ CEOのマーク・オルセン氏

 TTNQとしての活動では、3月20日に日本語の公式サイト上でサステナブルな体験についての情報をまとめて提供する「サステナブル・トラベルハブ」を開設するほか、4月にはマリンダイビングフェア東京に出展。またアイアンマンなど現地のスポーツ大会でも需要を喚起していく。

 閉会の挨拶を担当したのはクイーンズランド州政府観光大臣のスターリング・ヒンチリフ氏で、「航空券の販売が開始され、競争力の高い運賃も提供されて日本の旅行者の皆様にとって次のグレート・バリア・リーフでの休暇がさらに一歩近くなった」「両手を広げて皆様方をクイーンズランド州にお迎えしたい」などとコメント。VAの就航初年度には日本から3万人の利用を見込んでおり、680人の雇用と6950万ドルの経済効果を創出すると期待しているという。

クイーンズランド州政府観光大臣のスターリング・ヒンチリフ氏

 そして、州政府としても旅行需要喚起にも積極的に取り組んでおり、日本でも最近Expedia、HISなどとキャンペーンを開始。「今後ともVAとの協力を緊密に続けて様々な活動を通してサポートしていきたい」と意欲を語った。

 なお、ケアンズにはジェットスター航空(JQ)も成田と関空からケアンズへ就航しているところで座席供給量に見合う需要の開拓が必要になるが、会場内の関係者からは「羽田と成田で棲み分けは可能」「ANAとの提携で地方からの需要にも期待できる」などと前向きに捉える声が多く聞かれた。

教育旅行イベントも開催

イベントでは高校生が授業で製作した工芸品を大臣に贈呈

 なお、2月27日の夜にはクイーンズランド州政府の主催で教育旅行に特化したイベントも別途開催。教育機関や企業の関係者のほか、来月に現地を訪問予定の高校生らも集まり、ヒンチリフ大臣らがクイーンズランド州での教育旅行の魅力をアピールするとともに訪問の増加を呼びかけていた。