業界ニュースを振り返る ー 賃上げは後か先か
今週はトップは旅工房高山氏の辞任でした。こちらは私から触れられることはあまりないのですが、現在の旅工房のIRなどを見れば仕方がないことでしょうか。コロナさえなければと口惜しいところでしょうが…
さて、わざわざ私とお題かぶりしたために内容を変更してくださった柴田氏のコラムの内容はなるほどと思わさせられました。確かに、コロナによってほとんどの人が国内旅行を選択せざるを得ない状態が続いていましたが、本質的に海外旅行の既存顧客は国内旅行既存顧客とあまり重複していないかもしれないと、柴田氏のコラムを読んで思い返しました。自分がどっちも行く派だとついそうでない視点が抜け落ちますね。反省です。
しかし、それらが競合しないとすれば業界全体にとっては良いことです。同じパイの取り合いではないわけですから、あとはおっしゃられている通りボトルネックを旅行会社や業界全体で解消していくことが全体にとって大事なわけですね。
もう一つ、私が触れたいなと思ったのが宿屋大学近藤氏の書かれた内容ですね。正直に言えば、私はホテルで職人だと思うスタッフの方のサービスを受けたことが自身にはほぼないと思いますし、それ故にホテルに求めてもいません。
私の旅行スタイルでそんなに高いホテルに泊まることが少ないというのもありますが、同年代でホテルでそういったおもてなしを頻繁に受けたことがある人というのはそう多くはないかと思います。そうすると何が問題になるかというと、将来的にホテルに誰もそういったおもてなしを求めなくなるのではということです。カツ丼を食べたことがない人がカツ丼を食べたいと思うことがないように、味わうことのないものを求めるということは0と言いませんが、同じホテルであればその分廉価なものがあるわけですし、おもてなしの需要がますます減るのではないでしょうか。本当はそうなる前に、質の高いホテルマンのサービスをもっと知ってもらう必要があると思います。
と同時に、コメントで書かれている賃上げのところもなかなか難しい問題です。そりゃ私も一会社員ですから「今より高品質を求めるなら先にそれに見合った賃金を出せ!」と言いたくなりますが、一方で経営者からすれば「20万円分の働きしかしてないやつに先に金は出せん!」と言いたくなるのもわかります。これが他の業務だと折衷案、優秀な結果を出した人にだけ高報酬を出すという手段が使えるのですが。例えばコールセンターなら顧客満足度の高いエージェントにはインセンティブを出すみたいな方法ですが、ホテルだとスタッフへの満足度調査ってなかなか具体的に答えてもらえるものでもなさそうだし、なにか他に手段があると良いんですけどね。アンケートを答えることにお客さんへもインセンティブを用意するとか。まあ一斉に賃上げは昨今の観光産業の状況を苦しいところでしょうし、いい落とし所が必要でしょうね。