業界ニュースを振り返る ー 増えるはインバウンドばかり?
今週のランキング、3位のJATA正会員14社入会の記事、会員が増えているということには少し驚きがありながらもそれ自体は明るいニュースで喜ばしいことです。
ただ、コメントでみなさんが書かれている通り気になる点がないわけではありません。どうもJATA正会員はインバウンド向けの会社が増えているのが特徴的で、それ自体は基本的に悪いことではないのでしょうが、コロナ前はやはりなんだかんだ言っても市場としてアウトバウンドの方が大きかったわけで、先にインバウンドばかり復活しても市場規模にも限界があるでしょう。
それにオーバーツーリズムの問題もある中、限界のある日本の観光資源を利用して発展していくのが外資系の企業ばかりとなると正直なところあまり喜ばしくないといだろうというのが私個人の感想です。まあここを掘り起こしていくと、外資系しか上手く発展させられない日系企業の力不足がそもそもの原因だという話になるのかもしれませんが……
そもそも、日本において観光産業が求人市場としても弱いというのが久保氏のコラムでも触れられています。ハーズバーグの二要因理論は昨今否定的な評価も多いですが、それを置いておいてもやはり観光産業の給与が低いのは大きな問題でしょう。少し前にTwitterで「今の職場環境は酷いけど給与が高いから全て許せる」というようなツイートがバズりました。必ずしも100%賛同はできませんが、報酬が良ければ多少の理不尽は許容できるというのは私としては非常によく分かる話です。なのに旅行業界は労働環境がホワイトよりはどちらかというとブラックよりなところも多いイメージですし、その上給与が安いとなると優秀な人材が来る可能性は「旅行が好き」の一点以外ありません。
これから先の日本が労働力不足になっていくのはどう考えても避けられないわけですし、その時対応する方法は外国人に働いてもらうか、AIが代わりに働くか、いい条件を出して少ない労働力の取り合いに勝つかあたりになると思いますが、薄利多売で人材に金が出せない状況では中々いずれの手も打てないでしょう。
結局、薄利多売形式で労働集約的な事業モデルを脱却するしか、旅行業界は現状を打破できないのかもしれません。ただ、これを突き詰めると富裕層相手の仕事ばっかりしておけばいいという話になりそうですし、そうなると私は旅行になんて到底行けなくなるので、それはそれで困るのですが……