ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ 代表取締役社長 井上理氏
「街と人を繋ぐ取り組み」で、ホテルの社会的価値を高める。
この3年間、コロナウィルス感染症の世界的大流行は観光宿泊業界に大きな損害を与え、当社グループのホテルでもお客様が激減し、本当に苦しい状況が続きました。ここまで耐えることが出来たのは、ひとえに関係各所のご理解とご協力のおかげであり、心より感謝申し上げます。当社は「街と共に、お客様の人生をより楽しく、より豊かに。」というミッションのもと、2020年6月、地域経済の活性化や雇用を守ることを目的に事業再生支援チームを発足し、約2年半で新築とリブランドを合わせて18軒のホテルを開業させていただきました。結果として運営するホテルの数が増えたことは収益機会の拡大に繋がり、当社の経営基盤を強化することに繋がりました。ウィズコロナで観光宿泊業界はまだ不安定な状況が続くので事業再生支援チームの活動は継続し、さらに2023年は、ミッションである「街と共に」を軸に2つの取り組みに注力して参ります。
1つ目は、『街と人を繋ぐ、フードサービス』です。コンパクトでライトなホテルが増える流れの中でも、当社はこれまで、飲食店を街と人を繋ぐ有効なコンテンツとしてフードサービスを重視し、直営にこだわり、多くのホテルに施設を併設してきました。今年はそのフードサービスの改良に注力し、お客様や街に対し、ホテルとして提供できることを増やしたいと思っています。ホテルが所在する土地のモノや文化を取り入れることで、お客様の体験価値を上げ、ホテルが所在する街の魅力発信や地産地消に貢献する。そのような視点でフードサービスを強化し、ホテルの差別化と、付加価値の向上に努めます。
2つ目は、『街の特色から着想を得た、SDGs活動』です。昨年、当社はロイヤルパインズホテル浦和に『SDGsアートギャラリー』を新設しました。地元埼玉の障がい者アーティストの作品や廃材アートなど、地元に所縁のある作品を展示し、多様な個性や、環境に優しい社会について考えるきっかけを提供して参ります。また、札幌のホテルでは、地元のシロクマのキャラクターとコラボした客室を創り、地球温暖化について楽しく学べ、シロクマ保護のため売上の一部が地元の動物園に寄付される取り組みを行っています。このように、ホテルを情報発信の場として活用し、SDGs達成の一助になるよう、街に着想を得た取り組みを積極的に企画して参ります。
一方で、2023年は観光需要の回復により、観光宿泊業界における人員人材不足が深刻になることも想定しています。コロナ禍で他業界へ移った人も多いため、人材人員不足を所与として、オペレーションの見直しやDXの推進により、少ないスタッフでも円滑にホテルを運営できるようにします。接客サービスや衛生・安全対策など、注力すべきところにスタッフが集中できるよう、チェーン展開のメリットを活かした仕組化で対応して参ります。
最後に、本年も、コロナウィルス感染症や経済環境の変化はまだまだ不透明ではありますが、お客様とホテルが所在する街にとって価値あるホテルを目指し、1軒1軒のホテルを妥協せずに創り続けることをお約束します。その結果、当社を支えてくださる関係各所に良い結果をもたらす好循環が生み出せるよう、努めて参ります。