アゼルバイジャン、観光庁と観光協力を著名、日本を重点市場に-23年は1万人目標
このほどアゼルバイジャン共和国観光局CEOのフローリアン・ゼングシュミット氏をはじめとする業界関係者が来日し、2022年12月14日に旅行業界向けセミナー、翌15日にはメディア向けの記者会見をおこなった。
会見でゼングシュミット氏は、12月12日から奈良県で開催された「第7回UNWTOガストロノミーツーリズム世界フォーラム」への参加に伴い、日本の観光庁とアゼルバイジャン国家観光庁の間で「日本国観光庁およびアゼルバイジャン共和国国家観光庁との観光協力に関する覚書」が交わされたことを表明。これを受け、今後日本を主要な観光市場としプロモーションを展開し、旅行者の増加を目指すとともに、日本旅行業協会(JATA)や旅行会社などと協力し、チャーター便なども活用し送客を図り、2023年は1万人の日本人客の来訪を目標とすることを明らかにした。
旅行産業に注力、日本に対する知名度向上が課題
ゼングシュミット氏によると、アゼルバイジャンを訪れる外国人観光客数はコロナ禍前の2019年は約320万人。主な市場はロシア、トルコ、近隣の中東欧諸国や中国などで、日本は約1万人。東南アジア諸国の市場も、徐々に成長を見せていたところだったという。
コロナの影響やロシアによるウクライナ侵攻で国境が封鎖されるなど観光市場が変化するなか、アゼルバイジャンは新たな市場として日本に注目。ゼングシュミット氏は「歴史や食文化の奥深さなど、アゼルバイジャンと日本は共通点が多く、訪れていただければきっと気に入ってもらえるだろう」と話す。同国では主要産業である石油や天然ガスなどのエネルギー産業に加え、農業とともに観光が今後の成長産業として捉えられており「今回の私たちの来日を機に、日本との長期にわたる交流の第一歩としたい」と意欲的に語った。
日本市場に対する今後の具体的な方策の一つとして、ゼングシュミット氏はチャーター便による送客を挙げた。これは記者会見に先立っておこなわれたJATAと日本の旅行会社6社との会合で示唆されたもの。日本のアゼルバイジャンへの旅行はジョージアなどコーカサス諸国とともに訪れる周遊商品が一般的で、また日本でのアゼルバイジャンの知名度はあまり高くないことから、「チャーター便によるツアー造成は知名度向上を図るうえでも効果的な手段のひとつと考える」(ゼングシュミット氏)。
また旅行会社に対する研修旅行や、インターネットによる情報発信も視野に入れながら、「今回の訪日では両国政府レベルでもチャーター便運航を含む会談が行われているので(チャーター便の運航を)ぜひ実現させ、2023年は日本人客1万人の来訪を目標としたい」と話している。
現地の観光は正常化、「旅を通して両国の絆をより深めて」
12月14日に行われた旅行業界向けのセミナーでは、アゼルバイジャン共和国観光局国際開発担当ディレクターのセウダ・アリエーバ氏が国の基本情報を紹介。首都バクーについては、シルクロードの中継地点として栄えた12世紀の旧市街と、フレイムタワーやザハ・ハディド設計によるヘイダル・アリエフ・センターといった近代建築を紹介しながら、「モダンと伝統が融合する都市。主な世界チェーンのホテルはほとんどあり、宿泊の選択肢は多彩」とアピールした。
またバクーを拠点とした主な見どころとして、ゾロアスター教の遺跡アテシュギャーフや火の山ヤナル・ダク、旧石器時代の岩絵のあるゴブスタンのほか、代表的な世界遺産としてシルクロードの町シェキなどを紹介。さらに固有種のブドウでつくられるワイン、8つの気候帯が織りなす多様な自然の中でのハイキングやゴルフ、リゾートの楽しみなどが語られた。
現地から参加した旅行会社からは「アゼルバイジャンは正常に戻り、EUやアメリカからの観光客も訪れている。ぜひ日本人にも来ていただきたい」「今後の観光活性化を見込み、日本語ガイドの育成などに取り組んでいきたい」と日本市場への期待と意欲が語られた。
セミナー後に行われたレセプションでは観光長官のファド・ナギエフ氏が登壇し、「観光は我が国にとってもっとも発展性のある分野。ぜひ多くの日本人に訪れていただきたい」と挨拶。駐日大使のギュルセル・イスマイルザーテ氏も「日本はアゼルバイジャンの観光にとって重要な市場。観光を軸として両国の絆をさらに深めていきたい」と語った。