VAが来年6月に羽田/ケアンズ線、日本発で最大7割販売へ-元QF新谷氏が日本地区統括

  • 2022年12月14日

 ヴァージン・オーストラリア(VA)は12月14日、2023年6月28日に羽田/ケアンズ線の運航を開始することを発表した。使用機材は今後新規で受領予定のB737-8。VAはもともと2020年3月に羽田/ブリスベン線に就航予定だったがコロナ禍で断念。その後経営破綻し大型機材を手放したことでブリスベン線の就航が不可能となり羽田発着枠の行方に注目が集まっていた。

(左から)ニック・ローラック氏、ダレン・マクダーモット氏

最優先事項だった日本就航、豪州各地へのゲートウェイにも

 VAは経営再建で黒字化を実現し、順調な国内線に加えて国際線ネットワークの再構築をしはじめてはいたが、これまではバリやフィジー、クイーンズタウンなど比較的オーストラリアに近い地点に集中していた。こうした中での今回の発表について、VAグループでベロシティ・フリークエント・フライヤーのCEOを務め今回の日本就航プロジェクトを担当したニック・ローラック氏は、「日本路線を早急に開設し羽田の発着枠を保持することは、破綻後の我々にとって最も重要な優先事項のひとつだった」旨を説明。

VAのB737-8イメージ

 羽田の発着枠を使用しなければ失うことになるなかで、B737-8で飛行可能な範囲にあること、コロナ禍からのリカバリー期においてはレジャー需要が回復で先行する傾向にあること、そしてコロナ禍でVAとしてもケアンズ発着の国内線を大幅に強化してきていたことなどから就航を決定した。また、クイーンズランド州政府の航空路線再誘致用基金からの助成も受けており、さらにケアンズが日本市場で長年に渡って重要なデスティネーションと位置付けられてきた歴史も評価したという。

 VAはケアンズで週150便以上を運航しており、クイーンズランド州だけでなくブリスベンやシドニー、メルボルン、アデレード、パースなど豪州各地と日本の間のゲートウェイとしても活用していく。ただし、VAのセールス担当ジェネラルマネージャーのダレン・マクダーモット氏によると、需要の多くは日本発と見ており時期によるものの60%から70%は日本発と想定している。

週明けにはGSAも決定へ

 使用機材は未受領で座席の詳細なども年明けの発表予定だが、ビジネス、足元の広いエコノミーX、エコノミーの3クラス構成となる。日本語コンテンツを含む機内エンターテイメントシステムを導入するほか、WiFiもロイヤルティプログラム上級会員とビジネスクラス利用客は無料、それ以外は有料で提供する。

 航空券の販売は年明けからを予定。営業体制では、現在はGSA選定の最終段階で週明けにも決定するが、日本市場を統括する「コマーシャルマネージャージャパン」の役職にカンタス航空で営業本部長などを務めた新谷重則氏を起用。旅行会社などパートナーとの関係構築に力を入れていく。

 現時点ではオーストラリア発の訪日需要が旺盛である一方で日本人旅行者の動きは活発とは言いがたいが、マクダーモット氏は「就航までの6ヶ月間で安心感が広まってくれれば」と期待を語った。

路線便名出発時刻到着時刻運航曜日機材期間
CNS-HNDVA7713:1520:00デイリー737-82023年6月28日-
HND-CNSVA7821:4506:15デイリー737-82023年6月28日-

ANAと提携強化、JVの可能性も

現地ではヴァージンらしいスタイルで発表イベントも実施した

 VAは日本への乗り入れに合わせて全日空(NH)との関係も強化。コードシェア対象路線を拡充するほか、ロイヤルティプログラムでも相互にマイルの獲得や特典交換を開始する。コードシェアについては、これまではVA便にNH便名が付与されていたが、今後は今回のケアンズ線が追加されるほか国内線を含めてNH便にもVA便名を付与する。

 ローラック氏はNHとのジョイントベンチャーについては現時点で検討していないとしたものの、NHとの関係の更なる深化については前向きな姿勢を示した。また、日本の他空港への就航については決まってはいないが可能性を検討していきたいと語った。