業界ニュースを振り返る ー JALの出向の狙いはイノベーション?
今週のランキングトップは、JALの本田氏へのインタビュー記事でした。これまでもトラベルビジョンでは「地域に分け入るJAL社員たち」で、各都道府県の自治体等に出向しているJAl社員の方々にインタビューをさせて頂いていました。
今回の本田氏へのインタビューは、出向した側ではなく出向をさせた側のインタビューなわけですが、出向によるJALとしての期待がなんだったのかを理解できる記事です。
個人的な見解にはなりますが、今回のJALの狙いの一つは社内でイノベーションを起こす確率を上げることにあったのではないかと思います。
イノベーションの起こし方は現在進行系で経営学による研究がどんどん進んでいますが、そのイノベーションの厳選は既知・既存の知を新しい組み合わせによるというのが定説です。一方、日本の企業は一点突破の同質化・専門家が進みがちで社内によるイノベーションが起きにくい状況というのがありがちかと思います。そういったときの打開策として、社内に様々な要素を持たせるということがあります。例えば他業種からの転職者を増やすというのもよくある手ですが、既存の社員に新しいことを学んでもらうというのもイノベーションを起こしやすくするためにはよく取られる手段です。
通常であれば書籍代を出すとか学習補助を行うというのがやりやすい手ですが、コロナのタイミングを利用して各地に出向というのは非常に強い手段です。大企業にしかなかなかできませんしね。
その上、イノベーションには活きなかった知識も各地方の観光資源としての知識は既存事業に大きく貢献しやすいでしょうし、地域へのコネクションもできると、一手で色々なことに投資されています。
コロナ当時は、それこそSNSなどでは航空会社社員の他業種への出向を批判したり、なんなら馬鹿にするような投稿も多く見られましたが、短期的なキャッシュの問題解消も中長期的な投資としての価値もあり、個人的には感服するような施策です。もちろん投資は必ず結果が出るわけでもないでしょうし、そもそもイノベーションを狙っているというのもただの私の推測ですから大外れかもしれませんが、それでも数年後に期待したいところですね。