ハワイから各島の観光局代表が一挙来日、セミナー開催-再生型観光に引き続き注力

  • 2022年11月21日

ハワイから来日したHTAと観光局の代表者たち

 ハワイ州観光局(HTJ)はこのほど、ハワイ・ツーリズム・オーソリティ(HTA)、オアフ観光局、カウアイ観光局、ハワイ島観光局、マウイ観光局の各代表の来日に伴い、都内で「ハワイセミナー&マハロレセプション2022」を開催した。HTJが大規模なセミナーをリアルで開催するのは3年ぶり。また、各島観光局の代表が一堂に会したのは今回が初めてとなる。

 セミナー前の業界紙向けインタビューでは、HTAブランド責任者のカラニ・カアナアナ氏が「来る前も観光業のリーダーなどと意見交換をしたが、どれだけ日本市場が重要か、(ハワイの人々が)日本人を待ち焦がれているか体感している」と日本市場の重要性を改めて強調。同時期にハワイ州次期知事のジョッシュ・グリーン氏が来日中だったことから「新知事も日本とハワイとの関係がどれほど大切かを行動で示している」と語った。知事の着任は12月上旬だが、カアナアナ氏は「新知事には再生型観光、HTAのビジョンに賛同してもらっていると思う」とし、知事が変わった後も観光業へのサポートは変わらないとの見通しを示した。

 その上で同氏は日本人旅行者に対し、「円安やホテルの価格高騰など経済的な壁はあるものの、そうしたデータだけで旅をあきらめるのではなく、ハワイが提供できる体験を見て、来島を考えてもらいたい。今の我々にとって何が必要かを考えて旅行をしてもらいたい」と来訪を呼びかけた。

再生型観光をアピール、新しい体験素材の開発も

HTAのカラニ・カアナアナ氏

 インタビューではカアナアナ氏がハワイの今後の方針として、引き続き再生型観光に注力する旨を説明した。ハワイでは「マラマハワイ(ハワイを思いやる)」のスローガンを掲げ、「責任ある観光(レスポンシブル・ツーリズム)」、ひいては再生型観光をアピールしているところ。同氏は再生型観光について「グローバル的にも我々にとっても新しい取り組みであり、まずビジョンを持つことが重要。前に戻るのではなくどう進むか、長期的ビジョンを意識していている」という。

 HTAでは2019年以降、各島の住民達との対話を繰り返して意見交換を実施してきたところ。同氏によれば住民からは「観光を再開するにあたり、自然資源を次世代に残すような観光ができないか」「地域の経済を活性化させてほしい」「ハワイのオーセンティックな魅力を旅行前から旅行者に伝える活動をしてほしい」などの意見があったといい、今後はこうした地元の意見を反映させた観光施策を継続していく方針という。

 ハワイへの観光客については、コロナ禍で海外からの需要が激減するなか、米国内の需要が早々に戻り落ち込みをカバーしてきたところ。HTAでは国内市場にも再生型観光を訴えているが、「需要だがなかなか難しくチャレンジングな市場」(カアナアナ氏)という。一方の日本市場は「成熟市場で68%はリピーター。2022年はリピーター率は80%まで育った。ハワイのシステムを理解してもらえるような土壌が整っており、大変助かるし嬉しい」と語り、「日本を再生型観光のケーススタディにしていきたいという考えが強い」と、日本市場への期待感を示した。

 同氏は再生型観光を広めるための重要な施策として「一番大切なのは新しい体験、アトラクションを生むこと」と語り、「初の試みなのでバランスが大切で、簡単ではない」としつつも、地元のコミュニティや組織と協力し、再生型観光をサポートするような体験プランを創造していきたい考えを示した。さらにタロイモ畑での草むしりなどボランツーリズムについても触れ、「旅行中のバケーションや癒しも大切だが、旅行に来て地元の人たちに自分たちの何かを返す、コミュニティと一緒になるような体験を作れば、『再生型観光』という難しさはなくなっていくのでは」と語った。