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業界ニュースを振り返る ー CとAがない全国旅行支援

  • 2022年11月18日

 今回、官公庁の和田長官が会見で触れられたうち、主に二点が記事になっています。

 まずは海外旅行。インバウンドの伸びは凄まじいものがありますし、円安の今インバウンドを推進するのは非常に有用でしょう。アウトバウンドの方も、インバウンドが前月比15倍であったのと比較して伸びが低いため地味な扱いですが、前月比110%は通常であれば十分な伸び率でしょう。コロナ前からすればどちらも微々たるものではありますが、観光産業でインバウンド・アウトバウンドが復活していくことを嘆く人はあまりいないかと思います。

 一方、何度でも話題に上がるのは全国旅行支援。それも観光産業の現場からすればあまり嬉しくない方向に色々と話題になります。長官は全国旅行支援の効果が高いと認識されているようですが、旅行支援があった場合となかった場合を比較するのは現実的に不可能ですから、厳密な効果測定は不可能です。その上でもちろん効果は一定以上あったと思いますし、業界としてはありがたい話ではありますが(更に言えば私は1消費者としてもありがたく享受していますが)だから問題点が全てなかったことになるわけではありません。

 皆様コメントで書かれていることや、SNSで見かけるコメントなどを見ると現場の混乱はなかなか酷いもののようです。スピードが求められる施策でもあったでしょうし、拙速を尊ぶ、とりあえず開始するというのは良いと思うのですが、そこから改善していくというフェーズが全国旅行支援やGoToにはあまりにも欠けているのではないかと思います。昨今はPDCAならぬDCAP、まずやって、チェックして改善して計画するというやり方が広く知られていますが、観光産業の支援策に関してはずっとPDPDという感じで、チェックも改善も全然されていないのでは?というのが私の感想。

 まあそれと差し引いても経済的には有用なのでしょうが、本当に全国旅行支援を評価できるタイミングは、支援終了後になるでしょう。旅行支援が、その後の旅行需要を一時に集約しただけであれば支援が終わった途端に旅行需要は一気に冷え込むでしょう。この減少は大なり小なり起こるでしょうが、問題はその規模です。

 多額の税金を使って行った施策なわけですから、終了後には出来うる限り正確な効果測定を行っていただきたいものです。まあPDPDしか出来ないのであれば、Checkの機能は残念ながら期待すべくもありませんが。