南アフリカ観光局COOが来日「観光客の受け入れの準備ができている」、航空便増加も計画

  • 2022年9月28日

南アフリカ観光局最高執行責任者のノマソント・ンドロブ氏

 先ごろのツーリズムEXPO2022に合わせ、南アフリカ観光局最高執行責任者のノマソント・ンドロブ氏が来日し南アフリカの観光業の現状と今後についてインタビューに応じた。

 ンドロブ氏はコロナ禍の南アフリカの観光業について「他の国と同様にひどく影響を受けた」としつつも、今年の3月から新型コロナに関するの規制の解除をすすめており「観光業は非常に大きく回復している」という。2022年1月~6月の世界からの訪問者数は前年比147%増の228万5746人を記録。ヨーロッパは563%、北米は331%の増加となっている。

 また国内旅行も回復傾向で休暇旅行のシェアが23.3%へ増加、平均支出も28.6%増となり「観光業全体が回復しており大変嬉しく思う」と今後のさらなる回復に期待感を示した。

課題は航空路線と人材不足

 ンドロブ氏は現在、航空路線の就航や増便など航空会社との協議をすすめていることも明かした。すでにエミレーツ航空(EK)とは今年の始めに観光省と覚書を交わしており、航空会社を通してデスティネーションのプロモーションをおこなっていく予定だという。さらにカタール航空(QR)とも覚書を交わすため協議をすすめている。「コロナが終息しても航空会社が路線を戻さない可能性もある。観光業が回復するためには航空会社の路線再開は重要」として精力的な協議をおこなっているという。

 そのほかデルタ航空(DL)、ユナイテッド航空(UA)、シンガポール航空(SQ)、キャセイパシフィック航空(CX)などとも交渉しており、例えばUAは南アフリカへの増便が決定したという。またベルギーの航空会社が20年ぶりにブリュッセルからケープタウン/ヨハネスブルクへの直行便を再運航するなどの成果も出ている。

 また世界中で観光業界の人材不足が叫ばれているが、南アフリカでも同様に観光業界から離職した人材が多いという。ンドロブ氏は「観光が回復しているので人材確保に精力的に取り組んでいる」と話す。しかし「思うほど(人材確保の)スピードは早くない」と課題点もあげた。さらに質の高いサービスを旅行者に提供するには「トレーニングも必要」だとして、コロナ前のようなサービスの正常化には時間がかかるが鋭意努力を継続していくとした。

日本市場の旅行需要増加と観光消費に期待

ツーリズムEXPO2022の南アフリカのブース

 日本市場については「日本の旅行者はハイエンド、ハイクオリティな旅行体験を望んでいる」ため、多くの観光消費をもたらす旅行者として「きわめて重要」であると語る。また日本の新型コロナの規制緩和がさらにすすめば「南アフリカに来てくれると思う」と述べ、引き続き日本市場に向けてプロモーションをおこなう考えだ。

 尚、南アフリカ統計局が発表した2022年7月の南アフリカへの日本人訪問者数は前年同月比464.3%増の474人で、このうちの88.0%の417人が観光目的で訪れている。1月~7月までの累計では前年同期比319.1%増の2435人となっている。

 ンドロブ氏は「南アフリカのビジネスはすでにオープンになっており、観光業もお客様を迎える準備ができている」と話し、さらに5年ぶりのグローバルキャンペーン「Live Again !」もアピール。キャンペーンでは「南アフリカを旅する一人の若者が人生観を大きく変える貴重な体験」を描いており、コロナ禍の不安と自粛、ストレスの日々から南アフリカの旅行を通して人生を謳歌する喜びを感じることができるというもの。



 またコロナ禍にできた南アフリカの新商材を日本市場でも展開していきたい意向で「日本の旅行業界関係者をお招きしてご自身の目で南アフリカを見てほしい」と述べ、引き続き日本の旅行会社や関係者と関係構築をおこない南アフリカの観光促進につなげていきたいと意欲を語った。最後に「荷物をバッグに入れて、飛行機に乗って、南アフリカにいらしてください。準備は万端です」とメッセージを送った。