UAサイパン線就航、マリアナ3島レポート(1)-基本情報&サイパン編
9月1日、ユナイテッド航空(UA)が成田/サイパン線の運航を週3便で開始した。初便には業界誌を含むメディア8社の11名が搭乗し7日までの旅程でサイパン、テニアン、ロタの3島を視察。トラベルビジョンでは、大きく個性の異るそれぞれの島の魅力と現状、今後の可能性を3回に分けてお伝えする。
コロナ前から苦境も、待望の直行便でピンチをチャンスに
まず日本からの旅行市場について整理すると、サイパンは2018年にデルタ航空(DL)の直行便を失い2019年末にスカイマーク(BC)が就航したもののコロナ禍で断念。長くオフラインになったことで消費者の認知度も低下していて、今回同行したメディア関係者のなかには招待を受けるまで「マリアナ」の単語を認知していなかったという参加者もいた。
また、旅行業界関係者の中でもグアムと混同している例があると聞いており、マリアナへの送客はコロナからの回復以前に一からの再スタートとなる。コロナ禍で大ダメージを負ったなかで困難な道程ではあるが、逆に広く固定化したイメージがないとすれば新しいポジショニングを再構築しやすい状況とも言え、特に待望だった直行便復活は大きなチャンス。このためこのレポートではマリアナやサイパンに馴染みのない方々を念頭に基本情報からまとめていく。
「マリアナ」基本情報
はじめに筆者自身も混乱していたいくつかの固有名詞について確認しておくと、マリアナ諸島と北マリアナ諸島は別物で、「北マリアナ諸島+グアム島=マリアナ諸島」が正解。そして北マリアナ諸島の14の島々は「北マリアナ諸島自治連邦区(CNMI)」の名称で米国の自治領となっており、「マリアナ政府観光局(MVA)」がその政府機関として観光振興を担っている。
MVAによると、北マリアナ諸島に人が住み始めたのはミクロネシア地域でも最も古い約3700年前から3500年前とされており、東南アジア方面から移住したとされるチャモロ人と、そこからかなり遅れてサイパンの南にある中央カロリン諸島から来たカロリニアン人が先住民族。そして歴史に目を向けると、16世紀以降はマゼランによる「発見」とスペインによる統治、ドイツへの売却、日本の統治、太平洋戦争、米国の自治領化と変遷を経験している。世界銀行の推計によると人口は2021年時点で5.8万人規模。
そして北マリアナ諸島は14の島々からなるが、今のところ観光の目的地となっているのはサイパン、テニアン、ロタの3島。サイパンまでは東京から距離にして約2400km、成田からは約3時間半のフライトで到着する。平均気温27度のまさに常夏で、日本との時差は1時間となっている。
マニャガハ島でひと休み
サイパン島ではちょうど真ん中に繁華街「ガラパン」があるが、その沖合約3kmに浮かぶのがカロリン語で「ちょっとひと休み」というかわいらしい名前のマニャガハ島。周囲1.5kmの小島ながら全方位で白い砂浜と青く透明な海を楽しむことができ、以前から「サイパンに行ったらまずはココ」の筆頭だ。
船から上陸した後はなにもせずぼーっと過ごしても良いし、特徴である豊富なアクティビティを満喫するのも良し。筆者は到着後すぐにビーチ沿いにぐるっと一周してみたが、南洋ならではの植物や魚、頑張って隠れようとしているヤドカリなどの姿が次々に目に飛び込んできてとても楽しい。アクティビティはコロナ禍でほとんどが停止したものの現在は少しずつ再始動しており、今回はパラセーリングを体験。人気のボートスノーケリングも順次再開予定と聞いた。
また島内で食事や土産物などが買えたという売店も、訪問時には閉まっていたが外壁の再塗装など営業再開に向け準備が進んでいる様子が見えた。
ちなみに、以前のマニャガハ島を知っていた同行者によると「前よりもきれいになっている気がする」とのこと。コロナ禍による人出の減少で自然の美しさが回復したという話は世界各地であるようなので、こちらもそのひとつかもしれない。
「アクティビティ三昧」も可能なサイパン島
サイパン島では深い青の神秘的な世界を楽しめる「グロット」でのシュノーケリングやトレッキング、ダイビング、スカイダイビング、ゴルフなどの多様なアクティビティが用意されていて、今回の視察では四輪バギーの体験ツアーに参加。大自然のなかを疾走する爽快感を満喫でき、途中の休憩時間にはスタッフがヤシの実を割ってココナツジュースを飲ませてくれ、さらに果肉を「刺し身」にしてわさび醤油で食べる珍しい体験も。「刺し身」は話のネタ的なイロモノかと思いきや日本でも入手できるなら食べたくなりそうな美味で嬉しい驚きだった。
「超得キャンペーン」の太っ腹さも実体験
視察ではこのほか、MVAがUA便の維持・増便を目指して展開している「マリアナケーション超得キャンペーン」の特典も現地で実体験。キャンペーンは空港と主要ホテル間の送迎シャトルバス、現地で使用可能な50ドル分のクーポン、ゴルフ2ラウンドやダイビング2ダイブなどがUA便を利用するだけで提供されるまさに「超得」な内容で、円安、燃油高の状況ではとてもありがたい。
クーポンはVisaのデビットカード形式で、ガラパンにあるTギャラリア・サイパン by DFSで簡単に入手可能。ABCストアやDFSなどでのショッピング、ホテルやローカルレストランでの食事、アクティビティ、レンタカーの支払いなど好みに合わせて使用可能という自由度も旅行者に勧めやすいポイントのはず。しかも旅行会社には「送客1名あたり1万円」のインセンティブまで用意されているのは特筆に値する。
次回は、筆者を含め複数の参加者が「一番心に残った」と感想を言い合ったテニアン島について紹介する。また、宿泊や食事の体験は最終回にまとめる予定。