国境再開のマレーシア、変わらぬ活気のクアラルンプール、コンパクトに楽しめるペナン
デジタル、イノベーション、安全安心を柱に、日本市場はサステナブルツーリズム
MHはJLとの共同事業で羽田/クアラルンプール線に新規就航
日本市場ではサステナブルツーリズムを訴求
マレーシア政府観光局は、今年4月の国境開放に合わせて、2026年までの新しいマーケティング戦略を立てた。アフターコロナに向けて、デジタル、イノベーション、安全安心を柱に、国内外の観光産業を振興していく計画だ。
同局の総局長ダト・ザイヌディン・ワハブ氏は、弊誌とのインタビューで「この戦略は、国家観光政策2020-2030と国連のSDGsの取り組みに即したもの」と説明し、日本市場についてはサステナブルツーリズムの訴求を強めていく考えを示した。特に、ランカウイ島やサバ州のSDGs関連プロダクトを積極的に紹介していく方針だ。
また、クアラルンプールでは、これまでの都市観光に加えて、ブキッ・ビンタンや高級住宅街モントキアラなどでのワーケーションやステイケーションなど新たな需要の開拓にも取り組む。
ダト・ザイヌディン氏は「コロナ禍を経て、旅行のスタイルも変化している。特に日本人旅行者はサステナブルへの関心が高い。その層は、長期滞在や消費額の拡大が見込める」と大きな期待を寄せる。
同局は2022年のインバウンド市場の目標を当初、渡航者数200万人、消費額86億リンギットと設定していたが、国境開放後2ヶ月でその目標は達成されたことから、渡航者数920万人、消費額260億リンギットに上方修正した。
ダト・ザイヌディン氏は「今後は、旅行者数というよりも旅行者の質に焦点を当てていく」と説明。意味のあるバケーションを求めるハイエンド旅行者の誘致にさらに力を入れていく方針も示した。
マレーシア航空、日本航空との共同事業で利便性を向上
8月14日からJLとの共同事業で羽田/クアラルンプール線に新規就航したMH。同航空グループ・チーフ・マーケティング・カスタマー・エクスペリエンス・オフィサーのラウ・イン・メイ氏は弊誌らとのインタビューで、羽田線が旅行者に提供するメリットとして、まず乗り継ぎの利便性向上を挙げ、「羽田に就航することで、JL国内線を利用した日本各地から、あるいは日本各地への集客が期待できると同時に、クアラルンプールからはマレーシア国内あるいはアセアン諸国への乗り継ぎがさらに便利になる」と強調した。
また、2020年7月からの共同事業開始以降、コードシェア以外にも、両空港で実施している出発5時間前のアーリーチェックインや両航空のウェブチェックインなど、顧客体験を向上させていることも付け加えた。
MHは、アフターコロナを見据えた需要喚起プロモーションとして、2022年12月31日まで「ボーナス・サイド・トリップ」も実施。これは、マレーシアから日本を含めた指定国へのMH便を予約した旅行者を対象に、ペナン、ランカウイ、ジョホールバル、クアラトレンガヌ、コタバル、アロースター、クアンタンへの往復航空運賃を負担するもの(税金など諸費用は利用者負担)。ラウ氏は「新たなマレーシアを発見してほしい」と利用を呼びかけた。
このほか、ラウ氏はMHのサステナビリティへの取り組みも説明。航空機の効率的な運用、最新機材の導入、持続可能な航空燃料(SAF)、カーボンオフセットの4本柱で2050年までにCO2排出実質ゼロを目指すとした。
また、女性の登用などの多様性や所得格差の解消などESG関連のプロジェクトを推進していくことで、「より持続可能な航空会社に進化していく」と強調した。